オバマさんは「歴史修正」の栄光を勝ち取ることができるか?

アメリカは核について、中国やロシアと比較して三分の一くらいしかポジティブな感情を持っていないのだ!」


原爆投下は必要だったのか? オバマ氏広島訪問で議論再燃 写真7枚 国際ニュース:AFPBB News
ということでオバマさんがマジ広島に来るそうで。

 トルーマンの決断の早さや背景、余波については、現在も議論の的となっている。特に日本では、原爆投下による市民の大量殺害は行き過ぎで、おそらく戦争犯罪ですらあるとの意見が、世論の大半を占める。

 一方、今回の広島訪問は罪の告白に等しいと懸念する識者らは、オバマ大統領に対し、謝罪をしないよう訴えている。

 ノートルダム大学(University of Notre Dame)のウィルソン・ミスキャンブル(Wilson Miscamble)教授(歴史学)は、「オバマ氏は5月27日の広島訪問で、トルーマンと距離を取るべきではない。むしろ、恐ろしい戦争を終わらせた大統領に賛辞を贈るべきだ」と書いている。

原爆投下は必要だったのか? オバマ氏広島訪問で議論再燃 写真7枚 国際ニュース:AFPBB News

もちろんオバマさんの個人的な決断もあるのでしょうけど、戦後アメリカが持ってきた核神話が完全に無くなりこそしないものの――徐々に和らいできたことの証左でもあるのかなぁと。別の異論を言えるだけの「風化」がようやく顔を見せるようになっている。


ただまぁぶっちゃけてしまえば、この辺は対ドイツ戦線にもあった勝利神話であ「ノルマンディー上陸の役割」なんかと構図は一緒だと思うんですよね。チャーチルなんかが当時から既に身も蓋もなく指摘していたように、スターリンのロシアこそが東部戦線でヒトラーの野望を直接に打ち砕いたのは概ね客観的な事実でもあるわけですよ。
――しかし戦後間もなく始まった冷戦構造下で、まさか共産主義陣営の側の功績を褒めたたえるわけにはいかなかったわけで。
つまるところアメリカの原爆投下正当化ってその日本版という側面でもあったのでしょう。まさかそれを「愚行」であったと断じるわけは絶対にいかない。だってそれは正義の側であるはずのアメリカのポジションと矛盾してしまうから。当時から既にイデオロギー戦争でもあったし、アメリカ国内向けには更に強く善悪の戦いだったのだし。


かくしてその神話はポジション上否定するわけにもいかず、数十年の間により強固となった。しかしその神話を必要とする国際関係もやはり時代と共に移り変わっていくわけで。最早冷戦中ではない。
……ということは新たな神話の登場でもある。まぁその意味でオバマさんの訪問は、訪問に反対するロシアや中国といった他の核兵器国とは違ったポジションを演出できる構造ではあるんですよね。
アメリカは核について、中国やロシアと比較して三分の一くらいしかポジティブな感情を持っていないのだ!」


がんばれオバマさん。