フェミニズムの勝利、か?

(性暴力被害者の勝利とは言ってない)


ワインスティーン被告に有罪評決 強姦と性的暴行など2件で - BBCニュース
【解説】 ワインスティーン被告に有罪評決 ハリウッドの巨人はいかに裁かれたか - BBCニュース
そういえばワインスティーンさんの有罪が出ていたそうで。
コロナネタも飽きてきたし以下適当日記。

その上で弁護団は、なぜ襲われた当時、訴え出なかったのかと問いただした。
「知り合いだったから」とスキオラ氏は法廷で答えた。「当時の私は、強姦というのは、裏通りの暗がりで知らない相手に襲われることだと、そう思っていた」。

【解説】 ワインスティーン被告に有罪評決 ハリウッドの巨人はいかに裁かれたか - BBCニュース

まぁこの辺が面白いというか興味深いというか、上訴もするそうですけども、今回の件に代表されるような現代的な『metoo』運動の勝利の一端ではあるよね。
かつてはレイプではなかった。
しかし今はそうではない。
おわり。



合意とレイプの違いを見抜けない人たち(つまりほとんど全ての男性)はセックスをするのは難しい。
ボーヴォールやマッキノンらのフェミニストな人たちが推し進めていたこうした構図にまた一歩近づく勝利という言い方はできるのかなあと。
つまり「レイプと性交を区別するのは難しい」なぜなら「女性ではない男性に理解できるモノではないから」という大前提の。


反発する人も多そうですけども、確かに私たち人間は他者の内心を完全に把握することは不可能な以上、厳密に言えばその通りかもしれないと男性側な自分でも概ね頷くしかない論理ではあるんですよね。
かくして少し前にニュースにもなったように、私たちはセックスの前にきちんと文面に残る形で『同意書』にサインする必要がある、という未来の社会を考えることになると。


ゴムと合意書が大人のマナーであるという世界がはたしてやってくるのか。
いやまぁでもゴム着用と合意書サインをバーターにして取引関係を均衡できるからそれはそれで都合がいいのか。
しかしそもそも女性側は、男性に(様々な理由で)嫌われたくない故に、消極的合意ポジションをとっているとされているわけで。
じゃあそれってつまり合意書があってもそこまで意味はないことになって……、
ていうかその場合むしろ合意書って男性側の免罪符になっちゃう可能性になるんじゃ……。
うーん童貞の思考実験だけじゃちょっとよくわかんないよね。
ど、どどどどどうていちゃうわ!





ともあれ、しかし一方で、そうした(かつてグレーゾーンだった)合意の有無が争点となるようなレイプではない、圧倒的大多数を占めるだろうそれ以前の問題は何も変わってないわけですよね。

性暴力に関するデータを集めて被害者や家族を支援する米非営利団体「National Sexual Violence Resources Center」の広報担当、ローラ・パランボ氏はBBCに対して、ワインスティーン被告の裁判はアメリカにとって「重大な瞬間」だと話す一方、アメリカの司法制度が扱うほとんどの強姦事件の現実とは異なるものだと留意する必要があると指摘した。

強姦や虐待、近親相姦などの性暴力に取り組む米非営利団体「Rape, Abuse & Incest National Network」がまとめたデータによると、アメリカでは性暴力の実行犯1000人のうち995人は、有罪にならない。警察に通報される性暴力事件は4分の1未満で、実刑判決を受けて服役する性犯罪社は全米で全体の0.5%に満たないという。

【解説】 ワインスティーン被告に有罪評決 ハリウッドの巨人はいかに裁かれたか - BBCニュース

いつのものように自分に都合の良い数字を引用してみんな仲良くポジショントークしたらいいのではないでしょうか。
アメリカが0.5%だったら中世ジャップランドでは0.02%くらいかな?


こうしたフェミニスト的な『歴史的勝利』が持て囃される一方で、上記のような「ほとんどの強姦事件の現実」が温存され続けるのは救えないお話だよなあと思ってしまいますよね。
実際、上記のような「ほとんどの現実」におけるレイプ犯である彼らが、今回のワインスティーンさんの敗北を見て態度を改めるのかというと……。
まぁ犬が人を噛んでもニュースにはならないものね。
人が人を噛む方を救った方がニュースになるものね。
いじわるな見方をすれば、いつものように極一部の特権的なマイノリティ属性のみが救われ、圧倒的大多数の中間層以下のマジョリティな被害者は無視される、という左右に共通した現代政治運動しぐさともいえるんですけど。



はたしてこれはフェミニストたちが『歴史の正しい側』に居ることを証明した勝利なのか?
それともただただ現実離れした局所的勝利の一端でしかないのか?


すべての性暴力被害者たちに魂の安らぎがありますように。