『サイティーン』1~4(C・J・チェリイ)読んだ

これは面白い。
『ダウンビロウ・ステーション』って同世界の作品が前にあるらしいけど何処にも売ってない。ひどい。そんなこんなで探すのめんどくさくなってこっから開始。


大物科学者兼政治家である女性が残した、自らのクローンであり後継者とした主人公の成長物語。簡単にまとめてしまえばこの辺だろうか。


何かもうほぼ全編通して、ひたすらお互いの妥協点を見つける行為、政治ゲーしてる。強大な武器(知識と経験と情報)を握っていて、且つそれを自覚してる奴はそりゃ強いよなぁ、という話で。勝つべくして勝つというチートキャラに近い物はある。
それでも相手の利益と自分の利益をきちんと誘導させてる辺りさすがだと思います。つまり主導権を握ってると。


作中に出てくる、人工的に製造された人間の意識を決定する様々な「精神の組」の研究とかは、アドラーの「個人心理学」*1をちょっと彷彿とさせる。個々の精神の組が絡み合って全体を為す、な感じだろうか。
さて置き、訳者批判するわけじゃないけど、今ならもうちょっと今風な解りやすい単語の訳当てられるんじゃないかなーとは思う。1993年の作品であるし。ともあれ新訳で出たら買っちゃいそうな勢い位には面白いです。がんばれ復刊ドットコム


そういえばこの日記とは直接関係ないんですけど訳者の話関連で、先日翻訳家の浅倉久志さんが亡くなったというニュースを見ました。
フィリップ・K・ディックでSFに入った私にとって、浅倉久志さんこそがSFである、と言っても良い位の影響を受けました。あんまりこういうの書くのは柄ではないんですけど、
本当にありがとうございました。そしておつかれさまでした。