米国ロビー政治と廃課金ゲームの共通点

より多くの札束で殴った方が勝つ。クソみたいな課金ゲーそっくりな現実の米国政治。


深刻な危機にある米国の政治 利権集団の増殖で機能不全に(1/4) | JBpress(日本ビジネスプレス)
昨日一昨日と近い話題を書いたので関連して、通常日記でも少し触れた米国政治の混沌についての評論から考えた適当なお話。

 ロビイストは、政治家や官僚に対して献金を申し出ることにより、特定の企業や団体に有利な政策を実行させるのが仕事である。

 米国ではロビイストとして活動するためには政府に登録することが必要だが、現在3万人以上のロビイストが存在し、トップクラスのロビイストは年間7000万ドルもの報酬を受け取っていると言われている。オバマ大統領は「既存の政治を象徴するロビイストの影響力を弱める」ことを2008年の大統領選挙で公約に掲げていた。しかし、ロビイストの影響力は現在に至るまでいささかも揺らいでいない。

深刻な危機にある米国の政治 利権集団の増殖で機能不全に(1/4) | JBpress(日本ビジネスプレス)

だからこそそんな『政治(選挙)資金改革』という意味で、個人的には2008年時はぼんやりとマケイン派だったんですよね。そんな民主にしろ共和にしろほとんど誰も賛成しない『政治とカネ』にこだわり続けたの最右翼の一人が一匹狼で変人な彼だったからこそ。
ただ、現在のオバマケアと心中する覚悟のオバマさんと、そんなマケインさんの改革どっちがマシだったのかと言われるとやっぱり困ってしまいますし、答えが出せるはずありませんけど。それこそマケインさんにとっての悲願でもある「ロビイスト改革」を進めることは、現状のオバマケアに以上の政治的混沌をもたらしていた可能性は否定できない。




ともあれ、もちろん献金に繋がるロビー活動そのものが悪いわけではない。実際それ自体は「必要な人たちが望む」意見を正しく汲み上げる機能でもあるわけで。

 民主主義制度において市民が自らの利益を守るのは正当なことである。そのため米国では多くのロビー団体が組織されてきた。だが、これらの活動も過ぎれば特権になってしまう。結果の平等よりも機会の平等を強調する米国では格差そのものはそれほど大きな問題となってこなかったが、リーマン・ショック後の金融業への多額の政府支援を目の当たりにした国民の間で「米国がエリート集団と強力な利権集団によって牛耳られてしまった」との不満が急速に高まっているというのだ。

深刻な危機にある米国の政治 利権集団の増殖で機能不全に(1/4) | JBpress(日本ビジネスプレス)

それが何故現在大きな問題となっているのかというと、そりゃ身も蓋もなく「金のある方が勝つ」廃課金ゲーとなってしまっているからなんですよね。それはコネの有無とかそういう問題ですらないんですよ。
しばしば上記のように陰謀論的に語られる「一部の金持ちや大企業や政治家が共謀して一般市民を食い物にしているのだ」というお話がありますけども、それって微妙に認識がズレているんですよね。彼らはそんな政治的影響力=ロビー資金力のない貧乏人を相手にしていない。排除するまでもない。
食い物にしているんじゃなくて、そもそも眼中にない。
この辺はやっぱりクソ課金ゲーと近いところがあって、そもそも大多数の一般無課金兵相手に無双するだけならそこまでの課金は必要ない。それなのに、じゃあ何故所謂「トップランカー」勢の課金量が突出してバカみたいな数字になっているのかって、そりゃ上位で争う人たち同士が同じくらい使っているからなわけで。彼らは同じクラスの相手に勝つ為にこそ廃課金を続けるのであって、別に弱いものイジメが主眼ではない。
――ライバルが金を使う以上、自分も使うしかない。
この構図って特に米国政治で見られる現実のロビー政治そのものなんですよね。まさに大企業たちは別に一般市民を食い物にするためではなく、法人税減税など協力することがまったくないとは言いませんけど、そのほとんどがライバル企業やライバル業界に勝つためにこそ何億ドルという政治献金を政界に投入するのです。その争いはまさに不毛の一言でありますが、だからといって止めれば自らに不利な法案ができてしまうのを止められない以上、勝負を降りるわけにはいかない。
CEOの高額報酬問題の果てにある、現代資本主義の未来について - maukitiの日記
昨日の日記でも書いたように、彼らは本当にグローバルで生きるか死ぬかの熾烈な競争を続けているが故に、大金を払って少しでも有能な経営者を招こうとするし、こうして少しでも有利な条件を用意する為に膨大な政治資金献金をつぎ込んでいく。
ここにただの平凡な市民たちが入る余地なんてほとんどない。ただただ圧倒的なパワー=資金力の差があるだけ。まるで無課金プレイヤーと廃課金プレイヤーが戦うような光景。
ロビー政治と廃課金ゲー共通点。


それは果てのないパワーインフレの続くゲームであります。もちろん毎回そうなるとは限らないものの、長期的に見ればより多くの札束で殴った方が、基本的には勝つ。そこで起きているのは彼らが競争原理を歪めて資金的弱者を締め出しているというよりは、むしろあまりも剥きだしな競争原理の支配する世界そのものであります。故にそこでは金のない者には存在価値などない。

「裕福な人がより裕福になるのは、裕福な人の方が政治システムに質のいいコネを持っていて、自分たちの利益促進のためにそのコネを利用することができるからだ」

深刻な危機にある米国の政治 利権集団の増殖で機能不全に(1/4) | JBpress(日本ビジネスプレス)

だからこれは陰謀ですらなく、そこにあるのは本当にあまりにも身も蓋もなく救いようのない競争原理そのものなのです。つまるところ、ロビイストとはその「コネ」を金で売る人たちなのだから。
より正確に書けば次のようになるでしょうか。

「裕福な人がより裕福になるのは、裕福な人の方が政治システムに質のいいコネを金で用意しやすく、自分たちの更なる利益促進のためにそのコネを金で利用することができるからだ」

それはある種の縁故主義とは真逆の世界観であります。そこに非競争原理なコネの入る余地なんて実際にはほとんどない。だってそのコネを売買することこそが、ロビー政治の本質なのだから。
ただただ金のある方が勝つというだけ。


いやぁロビー政治ってクソ課金ゲーですよね。
みなさんはいかがお考えでしょうか?