経済的発展は戦争を遠ざけるという幻想

最近の中国関連日記書くときにその周辺を見ていて思ったこと。


果たして本当に、経済発展や貿易体制の強化が続けば戦争の動機や必要性は段々と持たなくなっていくのだろうか?
多くの人がなんとなく考えるあれ。というかこれって最初に誰が言い出したんでしょうね。カント*1あたりだろうか? 世界市民体制を信奉してる人にありそうな話しだとは思うけれども。なんというか「世界市場の成長により各国の相互依存が高まって平和がなされる」的な永久平和論。確かにとても素晴らしい理念だとは思います。


実際に近代以降そうした傾向があったのかというと、まぁ、びっくりする位なかった。というか近代以降ほぼ常に世界で最も豊かだったヨーロッパが何やってたか思い出せば、考えるまでのこともない気がします。
16世紀に世界で最も金持ちだったスペイン(というよりハプスブルグ)は、その馬鹿みたいに広い領土を守る為に戦争し過ぎて破産した。
17世紀は金融と海上貿易で栄えたオランダは、世界で最も裕福な国同士で英欄戦争やら三十年戦争をやらかしていた。
18世紀はブルボン朝最盛期で太陽王だったルイ14世の時代のフランスはヨーロッパで最も威信のある国だった。何してたかと言えば戦争しまくってた。
19世紀は日の沈まぬ帝国で異常に豊かだったイギリスは、何をしていたかと言えば、日の沈まぬ勢いで各地の植民地で戦争してた。
20世紀はアメリカで、世界で最も裕福な国同士で、二度も、世界大戦が起きた。その後もまぁ大抵の戦争にアメリカが絡んでた。
21世紀も(まだ当面は)アメリカの時代で最近の流行は対テロ戦争とか。テロリストを戦争相手に格上げして頑張ってる。


こうして見ると「金持ち喧嘩せず」どころか、金が余ってる国はまぁ大抵やる事と言えばそれしか脳が無いのか、って位戦争ばっかりなのがよく解ります。まぁある意味西欧文明の愚行の歴史とも言えるんだけど。しかし結局の所経済交流や国家間の貿易が平和を加速させるという事は、今後はともかく、これまでは絶対に無かった。そんな数少ない例外は「戦後の日本」位だったと。平和って素晴らしい。
面白いのは両大戦前のアメリカだと思います。あの時アメリカは戦争に関わろうとしなかった。彼らは自分さえ良ければそれでいいと思っていたので、戦争なんて馬鹿げていると考えた。さすが世界最大の金持ちという感じです。確かにことわざ的には合ってる。で、結果的にそんな彼らの態度が何をもたらしたのかと言えば、二回の世界大戦だった。個人的には、あの時アメリカがもうちょっと好戦的だったらあそこまで悲劇は大きくならなかったかもしれないのに、とか思います。



さて最初に戻って、経済的繁栄は本当に平和を招くだろうか?