政治より経済からやろうという教訓

昨日言ったことなんてなんともなかったぜ、なしつこいギリシャ日記。そしてそこにこだわる理由について。


ゼネストに揺れるギリシャ、公務員労組ら抗議で全土がまひ 写真7枚 国際ニュース:AFPBB News
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アテネギリシャで5日、最近同国政府が決定した財政緊縮策に抗議するゼネストが行われ、首都アテネ中心部のデモでは火炎瓶が銀行の入った建物に引火して建物が炎上し、3人が死亡した。

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なんだろうなぁこの人達は。少なくとも、世界の共通認識としてあるギリシャ財政破綻の原因はその行き過ぎた福祉政策や汚職といった、経済的でない行動の結果であると見なされている。なのに彼らはその是正に抵抗する。そりゃドイツのメルケルさんもイライラしますよね。
こんな一見外から見ると「一体何やってんだこの馬鹿達は」という状況はそのまま今の日本にもありそうなので、彼らを馬鹿だと言い切るのはちょっと辛い。うん、そうだよね、彼らには彼らなりの事情がきっとあるんですよ、今の日本がそうであるように。一体なんでこんな事に、って思ってるんですよみんな。一体なんでこんなことになってしまったんだ。




さて置き、自分が何でこんなにギリシャネタが面白く思うかって、それってやっぱりEU統合の試練だからなんですよね。こうしたギリシャを始めとするいわゆるPIIGSの経済問題*1は、直接的に、ユーロ統合の大きな試練となっているから。ここを乗り越えなければ、統合論者の言うような一つのヨーロッパなんてものは絶対に成立しない。
こうした政治的な変化を目指すのに経済的な問題を先に解決しようとするのは、旧ソ連ペレストロイカグラスノスチの失敗(まぁある意味西側諸国から見たら成功なんだけど)が証明したように、先に政治的改革をやっても失敗するからって事なんですよね。当時の中の人が言う様に、先に経済的安定性を作ってからその後に政治的改革をやる、というのはまぁ歴史の教訓なわけです。だからこそ、今の中国もそうして経済の自由化という改革を優先して進んでいる。


そんな教訓の上で、通貨統合を通してこそ政治統合は促進される、と統合推進派な彼らは信じている。
そうやって今回のギリシャの一連の騒動を見ると、やっぱりユーロ統一まで問題山積みだなぁと彼らの人類史に残る「挑戦」を生暖かい目で見守りたくなります。ユーロ経済の安定が成らなければ、その先にあるユーロ政治統合は絶対に成らないから。


逆説的に、だからこそドイツの苛立ちやIMFの介入が、そんな推進派にとって蛇蝎の如く嫌われているんですよね。「彼らは統合への障害となっている」なんて。何故かその反発はドイツやIMFに向けられてしまう。
しかしそうは言ってもドイツやIMFが推す方法以外に現在の危機を乗り越えられるような現実的な方法を、統合推進派な彼らは提示できない。ドイツやIMFの方法は確かにユーロ統合へのブレーキとなるのは確かに間違っていない、けど他に方法がない。
経済を安定させたいけどその方法は好ましくない、しかし経済が安定しないと政治的統合もできない。なんて端から見てる分には愉快なジレンマなんでしょう。


という結局どこまでいっても他人事なので、未来の教科書に今回の件が何て書かれるか楽しみにしておきます、的なありがちなオチであります。

*1:彼らの問題についてはhttp://twitpic.com/1l6xrl/fullというとても解りやすい相関図があるので是非