かといって今話題の「暴力装置」を持ち出すわけにはいかないし。というわけで北朝鮮の核兵器開発に絡むウラン濃縮のあれ。
asahi.com（朝日新聞社）：北朝鮮にウラン濃縮の新施設 遠心分離器「２０００基」 - 北朝鮮関連
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20101122-OYT1T00530.htm
ソウル＝仲川高志】訪韓中のスティーブン・ボズワース米政府特別代表（北朝鮮担当）は２２日午前、ソウル市内で、金星煥キムソンファン外交通商相と会談した。
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20101122-OYT1T00530.htm
北朝鮮が２０００基の遠心分離器を設置し、低濃縮ウラン生産を始めたとの情報について会談後、記者団に「非常に失望している。重大な挑発行為と受け止めている」と述べた。
ボズワース氏は北朝鮮の行動について、昨年５月の２度目の核実験を受けた国連安全保障理事会の決議１８７４に「違反する」と強く非難した。一方、北朝鮮の過去の言動から、今回の事態は「危機ではなく、驚きもしなかった」と強調した。
なんというか確かに「危機ではなく、驚きもしなかった」というのが、多くの人にとっても正解なのではないかと思います。色々と経済制裁を変化球を混ぜながらやってきたわけだけども、しかし、ミャンマーの軍事政権にだって結局ここまで続いてスーチーさんの解放もついにその体制が完成するまで無力だったわけだし、同様にかつてのイラクのフセイン政権にだって結局まさに暴力装置を持ち出すまで何もできなかった。
そして当然の帰結として、北朝鮮も経済制裁なんかではその「核兵器開発」を止められない。
まぁ実際それこそ「市場」に依存していない彼らのような国家にはそりゃ当たり前に、経済制裁なんてほとんど効きませんよね。皮肉な話ではありますけど、私たち先進国にとっては恐怖の対象ではあるけども、しかし孤立国家の政権にとっては大して痛くはないし、しかも大抵痛い目に合うのはその国民の方であると。
その意味で「経済制裁を解除すべきだ！」という（別に善意からでもあるいは利権からでもどっちでもいいんですが）意見に少し賛同したくなる気持ちも解ります。どうせ今回のように彼らを止めることなんてできないんだから。しかしそれでも確実にその脅威を阻止ではなく抑制をしていることには間違いないので、時間稼ぎにはなってます。主に相手国民へダメージを与えているという意味で。
そんな核兵器開発「阻止」ではなく核兵器開発「抑止」しかできない現実。
といっても他に方法があるわけでもないので、やっぱり今回も経済制裁が主になってしまうんでしょう。テロ国家指定とか。だって他にやることないんですから。暴力以外にはいつだって問題を先送りするしか解決方法が見出せない現代の国際関係。びっくりするほど両極端です。
