もうそろそろ「ウィキリークス陰謀論」が出てきますよ

ウィキリークスで暴露されたアメリカの秘密って、つまり秘密なんて別に無かったという話ですよね、なお話。


http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/5066

 もちろん、秘密にしてきた外交公電が公にされてしまったことで、米国はばつの悪い思いをしている。アサンジ氏も明らかに、米国のファンではないようである。
 だが、それでも同氏とウィキリークスは米国を大いに助けたと言える。意図したわけではないものの、米国の外交政策にまつわる長年の陰謀論が誤りであることを暴いてみせたからだ。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/5066

すごいよく解るお話です。
これまでずっと根強く信じられてきたアメリカの陰謀論が、実際の所、そんなことなかったということが証明されてしまった。アメリカ政府の公式見解は、その奇麗事のような正義論そのままに、私的見解でもあったということが。つまり、彼らはただ単に(まさにアメリカを批判していた人たちの通りに)無邪気な正義を信じていただけだったと。
もちろんその口の悪さ、各国首脳に対する「無能」だとか「愚図」だとか「デブ」だとか揶揄に近いコメントを残すことも証明されてしまったけれども、しかしそんなことはオフレコの場であれば私たち自身もそうであるように殆ど誰だってやっていることでしかない。むしろ(まさにアメリカを批判していた人たちが推測していたように)本当はそう思っていながらも、公式にはそれをちゃんと控えてきたことさえ証明されてしまったわけで。


アメリカ政府に対する様々な陰謀論、巨大企業の利益の為に動いているとか、国家転覆を謀っているとか、戦争したくて仕方がないとか、中国に阿っているとか、そんなものはほとんど見つからなかった。少なくともこれまでの記録の中からは。
どちらかというとアメリカ政府が特別な存在などではなく、ごく普通の、よくある国家政府の一つでしかないことが証明されてしまった。彼らは彼らなりに自分がやりたいことと出来ないことのギャップに悶々としていることが。その意味では「良かったですねアメリカさん」という見方には確かにかなりの部分賛成できる。


まぁそれってアメリカ政府当局の善性云々というよりも、将来における「文書公開」という責任追及のシステムが少なくとも最低限はアメリカでは機能しているからですよね。羨ましいお話です。彼らは、無論完全にとはいかないけども、それなりに責任を追及されるような透明性のあるシステムの下に居るわけだから。
で、以前の日記でも書いたように、そうした流出で本当に困るのはそうしたことが全く省みられる事のない、情報統制国家な人びとであったと。中国が実は朝鮮半島統一にそれなりに前向きだったりとか、中東諸国の首脳がイランの核兵器に対して軍事行動も許容するほど危機感を抱いているとか、トルコ首相の秘密口座だったりとか、そうした国々のほうがよっぽどクリティカルな問題に発展する可能性がある。


さて置き、だからといってこれまでの「アメリ陰謀論」を信じていた人たちがこれで納得するかと言うとそうでもないわけで。この次はきっと「ウィキリークスアメリカの陰謀だ!」とか言い出すんでしょう。彼らは本当にアメリカ人たちの陰謀を信じているから。彼らはアメリカ政府の陰謀的な能力を、スーパーパワー(笑)を、ほんとうに信じているから。無邪気なアメリカの中の人たちと同様か、あるいはずっと強く。
なんというか、まぁ、その、見たいものが見えてる人って、ほんとめんどくさいお話ですよね。