中国の「影響力拡大」の意味するところ

中国の「中核的利益」とか、アメリカの「安全保障に関わる」とか、まぁ色々めんどくさい言い回しではありますよね、なお話*1


時事ドットコム:狙いはアジアでの影響力拡大=中国軍拡、米とは競わず−ゲーツ国防長官
へーという感じです。へー。まぁ当たり前のお話ではありますよね。

【ワシントン時事】ゲーツ米国防長官は2日、アジア安全保障会議(英国際戦略研究所=IISS=主催)に出席するためシンガポールに向かう専用機中で、中国の軍拡の目的は「アジアにおける相当な行動の自由の獲得と影響力拡大だ」と指摘する一方で、「中国は米国と全面的に張り合うつもりはないようだ」と語った。ロイター通信などが報じた。

http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2011060200516

さて置き、何故かこれをもってアメリカさんの弱腰とか後退とか仰る方がいらっしゃいますけど、普通こうした国家(例えばロシアとか)に対して「影響力の拡大」とか「近隣諸国からの敬意」を求めているとか言う場合って、
それってつまるところ、近隣諸国からの『服従』を求めている、という意味になるわけであります。
何でそんな遠回しで、しかしバレバレな比喩を使うのかって、そりゃ面と向かってそんなあからさまな非難するわけにもいかないんだから当たり前ですよね。故にこうしたオブラートに包んだ言い方になっていると。大変TPOを弁えた発言ではありますよね。さすがゲーツさん。
まぁ実際こんな事は言っている側も言われる側も、解ってて使っているんですよね。というか本人自身でさえそう言ったりする。


だからつまり、中国の軍拡の目的は「アジアにおける相当な行動の自由の獲得と影響力拡大だ」とは、「アジアにおける行動の自由と中国への服従だ」という意味でしかない。
で、それをシャングリラなんて洒落た名前が付いてる『アジア安全保障会議』へ向かう途中で述べていると。「中国の軍拡とはアメリカ相手ではなく、アジア向けである」こんなの深読みするまでもない感じですよね。


まぁだからそんな発言を真に受けて「アメリカが日和った!」などとは微妙にずれたお話ではあります。如何にも平和な日本らしい反応ではありますけど。