こんなアメリカに一体誰がした?

分断されるアメリカ、なお話。


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まぁ以前からちょくちょく言われていた話ではあります。

 これら異なる見解の妥協点を見つけることは、理論上は決して不可能ではない。だが実質的には米政界における2つ目の大きな潮流によって、ほぼ不可能な状態になっている。すなわち、約30年におよぶ政治的な流れによって共和党は右に、民主党は左に傾き、議会内の中道派が弱体化し、ほとんど消滅してしまったことだ。

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共和党は更に右にシフトして、民主党は更に左にシフトする、だそうです。
こんな結果になるなんて『二大政党制』って一体……、という気持ちに少しなりますよね。
本来なら二大政党の志向ってより中央付近に収束するはずなのに。お互いに相手よりもほんの少しだけ右・左であることがもっとも有権者の票を集めやすいはずなのに、しかし現在のアメリカでは何故かまったく逆のベクトルが働いている。ほんと一体なんでこんな事に。
政治家たちがそれを望んだのか、それともアメリカ国民がそれを望んだのか、どちらが先かということなんでしょうか。鶏と卵な話にはなりますけど。


個人的にはそれは、共同体としての統一見解的な『あるべき国家像』があまりにも乖離し過ぎた結果なのかなぁとは少し思います。例えば(多数の移民を抱えるアメリカならではの)人種差や、あるいは経済的な格差といった国民の間にある壁があまりにも大きくなりすぎたことによる、ある意味で当然の帰結であると。それぞれの社会が分断され過ぎたせいで、政治に望んでいる事さえもあまりにも掛け離れてしまっている。それはよく言われるような人種差であるし、そして「富裕者向け増税・減税」という言葉に代表されるようなアメリカ国内での経済格差によって*1
つまるところ、メルティングポットではなくてサラダボウルになってしまったからこそ。
共通目標の政策を生み出していくのではなくて、それぞれ別個の政策が並立化しつつあるんじゃないかと。


多文化主義の先にあるもの - maukitiの日記
これって上記日記でも触れた『地政学を英国で学んだ』さんちの「多文化主義はどのように失敗したのか」にあった、政府の多文化主義政策の失敗、というアメリカ版な一例なのかなぁと思ったりします。それは移民だけでなく、経済格差によっても引き起こされるのだと。低所得層から富裕層まで、経済格差が生じるのは避けようがないけれども、しかしその多様性の適切な管理に失敗している。


そして実際オバマさんもそうした現状を肯定し、火に油を注ぐかのようなことを口走ったりしているわけです。

 演説の中で、大統領は自らを中間層の擁護者とする一方、共和党員を企業と富裕層の擁護者として位置づけた。そして、交渉行き詰まりを懸念する投資家や格付け会社の不安を和らげることよりも、米国有権者に直接語りかけることに重点が置いたスピーチだった。

〔ポイント分析〕再選戦略が色濃いオバマ演説 市場ではなく有権者を意識| マネーニュース| 最新経済ニュース | Reuters

大統領は自らを中間層の擁護者とする一方「共和党員を企業と富裕層の擁護者として位置づけた」ですって。そりゃ移民だけでなく貧富でも『分断』しちゃうよなぁ、という感じではありますよね。


しかし今考えてみると「分断されるアメリカ」だなんて、ハンチントンさんまた勝利しちゃったな感*2