ロシアの経験から見る民主革命の一つの末路

昨日の日記の先にあるもの。


旧ソ連クーデター未遂から20年、いまだ改革の余地あるロシア 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
http://japanese.ruvr.ru/2011/08/18/54860159.html

ロシアのリベラル派は、クーデター・グループが設置した国家非常事態委員会(GKChP)に対する民衆の抵抗を民主化の成果だと語るが、今週、独立系調査機関レバダ・センター(Levada Centre)が行った世論調査の結果は異なり、「クーデター未遂は民主化の勝利」と考える人は回答者の10%にすぎなかった。また「クーデター後、ロシアは誤った方向へ進んだ」と考える人は49%で、「正しい方向へ進んだ」と考える27%を大きく上回った。

 改革の旗を振ったゴルバチョフ氏は今週、現在のロシアは退行していると批判した。ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)現首相とドミトリー・メドベージェフ(Dmitry Medvedev)大統領が、クーデター未遂20周年をどのように迎えるかは定かでない。リベラル派の小規模な集会はあるだろうが、20年前、クーデターに抵抗するためにモスクワのロシア連邦政府庁舎を取り囲んだ群衆の数には遠く及ばないだろう。

旧ソ連クーデター未遂から20年、いまだ改革の余地あるロシア 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

そういうことなんだろうなぁと。民主化は進むこともあるし、しかし逆に後退することも当然ある。こんなことはハンチントン大先生が『変革期社会の政治秩序』で何十年も前に仰っていた事ではありますよね。政治は発展するのと同じくらい堕落するのだと。


まぁ最近のロシアに関して、よくプーチンさんらの強権路線を批判して「ロシアの民主化は後退している」なんて仰る方がいらっしゃいますけど、しかし一部の人びと(ロシア内部の右派だけでなく外からロシア政治を見ている人びとも)にとっては『そもそもロシアの民主化は始まってもいない』とさえ言える状況でもあるんですよね。
つまり上記クーデター後に起きた、行き過ぎのような自由化祭はある種の無政府状態に近い物であって、別にロシアの民主化が始まったわけでは決してなかった。そうした学者な人々の見解を正しく反映した世論調査ではありますよね。
そしてそんな「反・民主主義」なロシアの人びとの世論は、まさにこうした民主化を掲げられながら大混乱に陥ったあの頃への反発が招いている。自分たちの誇りであった超大国からの凋落であり、ハイパーインフレ等の経済危機であり、そして一部の金持ちのみが肥えた超格差社会であり、そしてあの泥沼なチェチェンでさえも、そんな『民主主義』の名の元に引き起こされたのだと。
あの「民主化の成果」とやらはロクでもないことばかり引き起こした、と。


こうしたロシアさんちの経験は、最近中東で持ち上げられる『民主化革命』の一つの可能性を証明しているんですよね。必ずしも上手くいくものではないし、むしろ当たり前に頓挫し、更にはその失敗から人びとが『民主化』に絶望してしまうことすらある。
そんなことは大騒ぎなリビアを持ち出すまでもなく、比較的穏便に進んだチュニジアやエジプトさんちの今でも続くゴタゴタを見れば明らかな話ではありますけど。