これでまた『プーチンのロシア』が書けるね!

続編のタイトルとしては「帰ってきたプーチン」「真・プーチン」「プーチンEX」「プーチンSE」「プーチン#」「もっとプーチン」「プーチンドッカーン!」「プーチンナ・イ・ショ」等々色々考えられますけど、一番のお勧めは「ラストプーチン」略して「ラスプーチン」です。ほら、いかにもな悪役らしくていいじゃないですか。こんなに何度もプーチンプーチン書いてたらプーチンゲシュタルト崩壊してきました。


大統領選候補者にプーチン氏、ロシア与党 写真12枚 国際ニュース:AFPBB News
ということであっさり発表されてしまったプーチンさんの(事実上の)再任のお話。これまで不仲説から密約説まで色々言われてきましたけれども、今になって振り返ってみれば2008年に可決された「大統領職の任期延長*1」の時などをはじめとして、最もよく囁かれていたオッズの低い無難な結果になったなぁと。なんてつまらないオチなんでしょう。


今回の件でまたプーチンさんの再任でまた民主主義が後退したとか言われるようになるんでしょうけども、しかしまぁ以前の「旧ソ連の八月クーデター20周年」日記の時に書いたように、「民主主義への以降は不可避であり不可逆である」なんてことが幻想だったことの再証明でしかないのかなぁと。
つまるところ民主主義に移行しようとしている社会において、しばしば、彼らは権威主義と民主主義の間にあるグレーゾーンでとどまることで満足している*2
それは政治家たちの間だけではなく、有権者たる国民の間にも等しくある感情なんですよね。確かに自らの政治参加の権利を求めることは概ね人間の普遍的な欲求だと言えるんだけれども、しかしだからといってそれが「後退しない」ことまで意味するものでは決してない。民主主義に幻滅した人びと。現在においてはかなりありそうですよね。現状の日本の国内政治や、アメリカの民主と共和の不毛な争い、あるいはヨーロッパ金融危機に何もできない欧州各国など、こうした現状を見て幻滅するなという方がかなり無茶な話だといえなくもない。
特に現在のロシアでは所謂『強い祖国』への憧憬が強い。それを実現させるべく強いリーダーを求めるのもまた、ある種普遍的な欲求でもあるわけです。まぁ一部の進歩的な人にとっては古臭い黴の生えた話だと笑うんでしょうけども、しかし現実にそう願う人はむしろ世界では未だ多数派でさえあるわけで。私たち日本だって、一部の極端な右のほうの人たちが常日頃言っているように、そして福島原発の事故以来極端な左の人までも同様に叫ぶわけです。「強いリーダーによって改革が必要だ」と。そしてその手法において、彼らは民主的手続きにおいて多少の無視を容認するかのように語ってしまう。その点において、私たちもロシアの人をあんまり笑えないなぁと。結局のところ『強いリーダー』ってそれと紙一重であるわけだから。


さて置き、国際政治的には日本にとって「敵の敵は味方だ」とまでは言いませんけど、まぁ強いロシアであった方が主戦となりそうな対中国という視点においては有利なのかなぁとは少し思います。これまで通り付かず離れず、せいぜい中国さんの頭を抑えてもらえればいいんじゃないでしょうか。中露国境だけでなく、他でも色々勝手にケンカ売ってくれそうですし*3