アル・カポネさえ逃れられなかった犯罪

通常日記(予定)からの発掘日記。


ギリシャの富裕層「税金ほとんど払っていない」 : 国際 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
今でもボロクソに言われている『失敗国家』としてのギリシャさんちを非難する言葉は色々あります。公務員天国だとか、放漫財政だとか、国民のやる気のなさだとか。しかしもし今回の危機を招いたギリシャの国家としての欠陥として「特に一つ」挙げるとすれば、やっぱりここだと思うんですよね。そうした意味で上記のお話は、心の底から「この国終わってるなぁ」と暖かい気持ちになります。
つまり、それは国家運営の根幹を成すはずの「徴税」システムの失敗であると。


よく日本やアメリカをして「金持ちたちは税金の支払いから逃れている!」なんて言われていたりしますけど、微妙に間違っているんですよね。そうした人びとのほとんどは、自分が『脱税』してしまうことこそを恐れているんです。脱税はほんともう、ぶっちゃけてしまえば、その「国家が本気になる」という視点においてはただの殺人よりもずっと重い罪なんです。だからむしろ、一般の人びとよりも金持ちの人たちこそ、脱税してしまうことを真に恐れているのです。
あの悪逆非道なギャング・スターたるアル・カポネでさえ、最後に捕まったのは脱税の罪だったのは伊達ではない。
だからこそ、多大な労力を掛けて、お金持ちの人びとは税金の支払いを「合法的に」逃れようとがんばるのです。その節税の努力はほんともうすごいものがありますよね。つまり本来ならば――まぁ正論で言えば全ての犯罪がそうあるべきではあるんですけど、国家にとっては『脱税』の罪は数ある犯罪の中でも特に「割に合わない」犯罪でなければならないのです。まぁ当たり前の話ですよね。だってその徴税権こそが国家を国家たらしめ、ついでに言えばそれこそが彼らの飯の種でもあるんだから。また逆に国民にとっても政府に「金を払う」からこそモノを言う権利と義務が生まれるのです。
故に、皆さんご存知のように『国民の義務』として最も重要な一つが「納税の義務」なんて言われるのです。それは国家運営の根幹であると同時に、国民自身の正当性の担保でもあるのですから。


そういえば、少し前にうちの国のえらい人でも「全く知らなかった」なんて(金持ちのくせに)言ってた人が居ましたけど、その時に「ああこの人はほんとうに『宇宙人』なんだなぁ」と妙に納得してしまったのを思い出しました。ギリシャの人たちもそんな目でドイツなどから見られていると思うと何故か親近感が沸いてしまいます。
そんな、常識の外側、に居る人たちのお話でした。