素晴らしき『MOTTAINAI』精神

BBCさんの「原子力発電について」の世論調査のお話。


Nuclear power 'gets little public support worldwide' - BBC News
『賛成・反対・現状維持』の3択について。BBCの記事では「原子力発電はちょっとだけ支持を得ているよ(イギリスとアメリカは例外です)」というお話になっています。
「既存原発は利用」57%…BBC読売調査 : 科学 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
日本の記事だとこう。しかしこれは結構面白い数字が出たなぁと。

日本では「今ある原子力発電所は利用すべきだが、新たに建設すべきではない」57%が最も多かった。

原子力発電は危険なので、今ある原子力発電所をできるだけ早く、すべて廃止すべきだ」は27%、「原子力発電は比較的安全で重要な電力供給源なので、新たに原子力発電所を建設すべきだ」は6%となった。

三つの選択肢の中で、「今ある原発は利用すべきだが、新たに建設すべきではない」が最も多かったのは、フランス58%、米国、英国各44%など、日本を含む6か国だった。日本の数値はフランスに次いで2番目に高かった。

「既存原発は利用」57%…BBC読売調査 : 科学 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

日本の現状維持57%という回答はフランスに次いで二番目に高かったそうです。まぁ不思議ではないかなぁと。
原発反対派にしろ推進派にしろ、それはもう喧々諤々の議論が続いているわけですけど、それらデカい声の人はさて置き、その意味で正しく『サイレントマジョリティ』を数えたらこんなもんなんじゃないでしょうか。積極的に反対も賛成もできないけど、現状は維持すべきであると。そりゃもうあるんだから使わないともったいないですよね。
個人的には、こうしたどっちつかずの中間層が大多数として存在している辺り、3・11を乗り越えての日本での原発議論はそれなりに健全さが戻ってきたかなぁとは思うんです。こんなこというと両側から怒られてしまいそうですけど、しかしアリストレス先生が昔仰っていたように、中間層が居るからこそ社会は安定する、わけだし。その意味で昨今のネット上で見られるような、「核兵器のためにこそ原発は必要だ!」や「フクシマの人は全員ガンで死ぬ!」という一部なアレな人たちよりも、よっぽど健全なんじゃないでしょうか。


しかしまぁ、そんな事を言っていますけど、そうした『古い原発』を使っていたからこそ、どっちつかずの『現状維持』を望んだからこそ、あの悲劇的な事故は起こったとも言えるわけで。あんなボロいのを使い続けるからこんなことになってしまったんだという指摘は、かなりの部分正しい。けどまぁそれこそが「大多数の日本の国民」が望んだことでもあるわけですよね。とりあえず現状維持でいこうと。そしてその選択肢は尚も続いている、と今回のBBC世論調査では示唆されています。


一般にこうした『中間層』が居るからこそ社会は安定し、しかし逆に、その中間的な判断はこうして福島の事故のように現状維持こそが悲劇を招いてしまう。
えーい、じゃあ、一体、どうしたらいいんでしょうね? 
ということこそが実は私たちの政治社会に突きつけられていることなのかなぁと少し思います。皆さんはいかがお考えでしょうか?