ロシアさんちの「なんとなく民主主義」システムの真髄

ロシアさんちの家庭の事情について。


ロシア下院選、プーチン首相の与党が大苦戦 写真4枚 国際ニュース:AFPBB News
ということでロシアの選挙は与党であるプーチンさんのギリギリの勝利に終わったそうです。どう見ても茶番といえばそうなんですけど、けどまぁそれも今更ですよね。

 プーチン首相は選挙結果について、国内情勢を反映したものだとして平静を装った。

 また、与党本部で記者会見したドミトリー・メドベージェフ(Dmitry Medvedev)大統領は、「わが国の安定した発展が確保された」と発言。ロシアの「民主主義が実現されていること」を示した結果だとして、有権者の真の傾向の反映を歓迎するとともに、当局の不正工作を否定した。

 野党側や、西側が資金援助するモスクワ(Moscow)の選挙監視団体「ゴロス(Golos)」は、当局が反論を抑え込むためにウェブサイトの閉鎖や監視員の妨害を行ったと主張し、前代未聞の選挙違反によって投票が損なわれたと批判している。

ロシア下院選、プーチン首相の与党が大苦戦 写真4枚 国際ニュース:AFPBB News

まぁ以前書いたような気がしますけど、元々、それこそプーチンさんが最初に大統領になった時から『エリツィンさんの後継者』として彼は選ばれたのであって、それがきちんとした民主主義システムに拠ってなんかはじめからいなかったわけで。今回の話にしても、その続き、というお話でしかないですよね。今回の件によってロシアの民主主義が後退したのでもないし、あるいは前進が止まったのでもない。
だからその意味で、今回の選挙が『大規模な政治世論調査』以上の意味があったのか、というとそれも微妙な話であります。プーチンさんの人気が落ちました→そうですか→おわり、というだけ。もちろんご意見ご感想は拝聴致しますが、最終決定権は彼らにあるのです。


そんなどう見てもアレなロシアさんの選挙にしても、かつての中東の独裁者たちが行っていたあのバカげた選挙の真似事よりはずっとマシだ、とは確かに言うことはできるでしょう。それらに較べれば憲法による大統領任期が(今政権で延長されたとはいえ)ちゃんと定まっているし、そして議会運営もそれなりに行われている。しかし同時に、私たち先進民主主義国家の様なまともな民主主義だとは決して言えない。最善とは決していえないけれども、しかし最悪でもない人たち。
トーマス・キャロザースさんの言葉を再び引用すれば、そんな彼らはやっぱり「権威主義と民主主義の間の『グレーゾーン』で満足している」と見るべきなのでしょう。
結局のところ、今回のロシアさんの選挙はそのことを証明したに過ぎないのかなぁと思うんですよね。ロシア国民のプーチンさんへの今回の批判票にしても、確かに不正な選挙にも怒ってはいるんだろうけども、彼の長年のリーダーシップに飽きた・失望したからもう変えるべきだ、という辺りの世論の声でしかないんじゃないかと。
微妙に盛り上がってるロシアさんちのデモではありますけど、だから所謂中東の春のような展開には決してなりそうにはないように思います。なにしろ彼ら自身がそんな真の民主主義を求めているのではなくて「なんとなく民主主義」で満足しているのだから。


それでもこうした経験や不満が積もり積もっていけばいつかそれが本格的な反発へと繋がることはあるでしょう。しかしそれは少なくとも『今』ではないのかなぁと。