もう政府なんて信用するなんて言わないよ絶対

テーマが分散し過ぎたので前回日記から分離。
固定観念の壁は撃ち抜けない - maukitiの日記の続き的なお話。

 共和党の候補者たちは、増税の完全否定(抜け穴をふさぐためであっても)をやみくもに崇拝する一方で、防衛費や年金の削減といった厳しい決断をからは目をそらしている。そうした無慈悲な保守主義(富裕層の税金を引き下げ、貧困層のための支出を削減する)には、どの分野の財政支出が有益かという考慮がほとんど伴ってない。

 景気が世界大恐慌以来最悪の下降局面に陥っている時期に、インフラに投資し、公教育を再編し、失業給付を維持することは、全く共産主義的な行為ではない。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/34239

色々と(特に何故か日本の人たちから)ボロクソに批判されている共和党自体が歴史的にアレなのかというと決してそうでもないわけですよね。
実際、オバマさん登場以前に『最後のリベラル政権』と呼ばれていたのは、あのニクソン政権でありました。理念よりも政治を優先し「わたしはケインジアンである」と言って共和党支持者から批判されまくったニクソンさん。あの時をピークにして、それ以降いわゆる『大きな政府』への信認が決定的に損なわれていき、以後ずっと政府支出を小さくすることこそが両党の基本政策となってしまうわけですがそれはまた別のお話。


ともあれエコノミストさんの記事でも言われているように、同じく穏健保守なロムニーさんが上記ニクソンさんのように理念より政治を優先して似たようなことをやってくれる可能性はなくもないと思うんです。やっぱり僕もあんまり期待できませんけど。
その「やっぱり」の理由は共和党という要素やロムニーさんの優柔不断っぷりという理由ももちろんあるんですが、しかしそれ以上にアメリカ世論という理由もあるんじゃないかと。実際「ウォール街を占拠せよ」運動でも何故か銀行支援策とかものすごい勢いで批判されていたじゃないですか。「政府は1%の為の政治ばかりやっている!」なんて。(少なくない数の世論の後押しを受けた)共和党の反対を受けて、オバマさんでさえその実行が難しいというのに、いわんやロムニーさんをや。まぁ「理念よりも政治を優先する」という点ではオバマさんよりも目がありそうですけど。もしロムニーさんが勝つとしたらその辺なのかなぁと。
http://econdays.net/?p=5590
以前の日記でも引用したように、クルーグマンさんはそんな政府支出拡大を認めない共和党を、それこそ親の敵のように批判しまくっていますけど、実際のところ真に重要なのは共和党とか民主党といった政権政党というよりは、欠けているのは、もっと単純にアメリカ国民の広汎な『政府への信認』という要素なんじゃないかと思うんですよね。当時の共和党政権のニクソンさんはまさにそうやってリベラルな政策を実行したわけだから。かつてはあって、しかし現在はないもの。それこそが衰退しつつある民主主義政治において、より重要な問題じゃないのかと。
『市場対国家』において、市場も国家も信用を失った先にあるもの。それが現在のああした運動だと考えると、まぁなんというか「資本主義おわた」という人の気持ちもわからなくはないかなぁと。


そんなアメリカの構図を考えてみると、実のところ、日本の状況も似たような所にあるんじゃないでしょうか。結局、政府が何をしようと、国民が政府を信頼していない以上まったく理解されることはない構図。
政府なんてもう信用しない私たち。過去と比べて一体進歩しているのか退化しているのかよくわからないお話ですよね。