ブルカ禁止で救える命はあります、か?

公共広告機構風に)えーしー♪


寛容の国オランダもブルカ禁止へ王手 | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
ということでオランダでも王手らしいです。最近の流行、あるいは多文化主義に対する揺り戻しと言ってしまえばそれまでなんですけど。

 しかしオランダ政府は逆に、ブルカやニカブの着用は男女の平等に逆行する行為と見なしているらしい。「この法案を通じて、政府は社会に参画している女性の障害を取り払おうとしている」としている。 

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その理屈にはある種の正当性や人びとの賛意を集めてしまうのも理解できない話ではないんですよね。非寛容に対して寛容のままでいいのか? というお話。まぁ勿論その本音には単純な「イスラム嫌い」という感情もそれなりにあったりもするんでしょうけど、しかしその建前は実際かなり立派なシロモノであったりするのです。故にこうして――一部の『意識の高い人たち』の反発をよそに――ヨーロッパ各国で極右政党が伸張し、真っ当な民主的手続きという賛成・黙認の上でこうした禁止法が成立してしまうと。


/ WSJ日本版 - jp.WSJ.com - Wsj.com
そしてタイムリーなことにこんなWSJさんに記事があったりしたのでした。

検察当局によれば、シャフィア被告が娘のザイナブさん(19)、サハールさん(17)、それにジーティさん(13)の反抗的な行為を恥と感じ、3人の殺害計画を指揮した。娘3人のうち年上の2人、つまりザイナブさんとサハールさんは未承認の男性と交際したとされたほか、3人全員が独立した行動やときに露出度の高い衣服を着て、父親に逆らったとされている。検察によると、殺害された第1夫人のロナ・アミール・モハマドさんは、厄介な人物で、反抗的な3人の娘たちに甘い義母だったとされた。

/ WSJ日本版 - jp.WSJ.com - Wsj.com

「未承認の男性と交際したとされたほか、3人全員が独立した行動やときに露出度の高い衣服を着て、父親に逆らったとされている」ですって。これで名誉殺人だなんて、日本だとほぼ100%に近い所にまでいってしまいそうです。しかしまぁ現実問題として、勿論これは当然行き過ぎたレアケースだとしても、先進諸国にさえもこうして抑圧されている現状は確かに存在しているわけですよね。


じゃあもし、こうした家庭が現実にあった時、上記オランダやそしてフランスが意図したようにブルカの禁止によって「女性の権利」とやらは守られるようになるんでしょうか?


もし、それで多少なりとも守られるようになりこうした悲劇が減る要因となるのであれば、それはそれでブルカ禁止の法制化もやったらいいのではないかと個人的には思うんですよね。逆に、やってもならないならやってもイスラム嫌いの人の気持ちが晴れるだけで大して意味はないかなぁと。多分に功利主義的な考え方ではありますけど、自由や寛容のパラドックスで前にも後ろに動けなくなる位ならそんな答えの出し方でもいいんじゃないでしょうか。結果としてそんな『女性の権利』についての根本的な問題解決にはならずに、ただ表面的に国内での悲劇が減るだけだ、と言ってもまぁ国内法って元々そういうものですし。
まぁこちらはこちらでまた功利主義的思考の問題点が云々となってしまうわけですけど。まさに上記カナダでの名誉殺人のように「その(女性の)幸福が誰かの(男性の)不幸となった場合にどうすればいいのか?」なんて。助けてサンデルえもーん!