「アメリカはキ○ガイだ」という評判の副次効果

まぁ私たちのミクロな生活でもよくある話ではあります。


イラン訪問「良い旅だった」、核問題めぐる協議でIAEA調査団長| Reuters
ということで、時間稼ぎだの何だのと言われながらも、まぁこうしてイランと多少なりとも『対話』がなされ、そして継続の目があることは喜ばしいことなんじゃないでしょうか。
じゃあ何でイラン側が――少なくとも表面上は――こうして折れているのかって、そりゃアメリカさんの軍事力行使というオプションをこれ見よがしにちらつかせて居て、そしてそれが脅しどころじゃないことを誰もが知っているからですよね。なにせ彼らは「大量破壊兵器の確たる証拠が無かったにもかかわらず」結果としてイラクに攻めていったんだから。そりゃイランさんがマジで危機感を持ってしまうのも理解できない話ではありません。あの全く無意味だったと批判されるブッシュさんのイラク戦争も、あいつらはシャレが通じない、なんて思わせたという点でそれなりに意味があったと言うことができるかもしれません。


実際、今になってみれば、イラクフセインさんが何故ああも頑なに大量破壊兵器を持っていることを仄めかし続けていたのかといえば「アメリカが攻めてくるはずがない」なんて高をくくっていたからなわけです。逆説的に彼はアメリカを信頼し過ぎていた結果、9・11後のアメリカに生まれたある種の狂気を見誤ってしまったのでした。
勿論その彼の強硬な態度はイランなど外部の脅威への対抗と、そして「全体主義政府はどこも、結局、外部の脅威よりも自国民の方を恐れるようになる」なんてよく言われているような、それは弱さの証左でもありました。まぁその後の内乱一歩手前なイラクや、そして見事にこうして核開発が疑われているイランを見れば、それ自体は理解できない話ではありませんよね。しかしどちらにしても、彼はそうした脅威よりも、アメリカの覚悟を低く見誤ってしまった結果として、あんな事になってしまったわけです。それより彼はむしろ世界最大の軍事国家たる『アメリカ』こそを恐れなければいけなかったのに。


そんな事を振り返ってみると、あのどうしようもない失敗の教訓とはいえ、まぁ今回のイランの危機はそれを正しく学べているのかなぁと。まぁ「アメリカの軍事力による脅しが実績を獲得した」という身も蓋もない話ではあります。まさに彼らが手段を選ばない真のキ○ガイだからこそ、皮肉にも彼らの脅しは更に迫真さが増し、結果として武力衝突を回避できるような構図を生み出している。そんなブッシュさん遺産について。
いやぁアメリカおっそろしいですよね。是非とも次は味方でやりたいものです。