対イラク経済制裁失敗の二の舞

の一歩手前でがんばる人たち。


英銀、イランと違法取引19兆円 免許取り消しも - 47NEWS(よんななニュース)
英スタンチャート銀行部門がNY州で免許停止も、イラン取引で| Reuters
わーなんか大変なことになってるー。しかし州レベルとはいえ、イギリスの大手金融機関を「免許取り消し」なんてやってしまったら――北朝鮮マカオBDAのアレのように――事実上の経済制裁に近いモノになってしまいますよね。まさかのアメリカによるイギリスへの経済制裁フラグ。時代が200年位巻き戻った感じです。
ともあれ、イギリス方面の人からはまぁいつものように「アメリカの横暴きたこれ」と盛り上がっていらっしゃいますけども、しかし経済制裁が抜け穴によって無力化してしまった(しかも国連による)イラクのことを思い出すとやっぱりアメリカさんとしては、上記批判は多分にポーズの面があるものの、やっぱり強い態度を示さないわけにはいかないのだろうなぁと。
実際、アメリカがイラク戦争を始めるきっかけの一つとなったのが、対イラクの制裁が崩壊していくことへの『根本的解決』として志向されてしまったわけで。「大量破壊兵器抑止の為の制裁が上手くいかないならもう戦争しかないじゃないか」……ぶっちゃけ多分にアホの子だとは言えますけども、しかしその包囲網の無力化というのは事実としてあったのでした。そして結局、アメリカ主導の対イラク制裁が崩壊しそうな時に、代替案の選択肢を出せなかった国際社会はアメリカのイラク戦争が始めるのを指をくわえて見ているだけしか出来なかった。
特に『石油食糧交換プログラム*1』についてはずっとその汚職が疑われていながら、案の定、イラク戦争が終わって蓋を開けてみればあのザマだったと。


西側の対イラン制裁、効果は出ている=米国防長官| ワールド| 特集 イラン情勢| Reuters
最近になってようやくイラン経済制裁の効果が上がっていると(ほぼイスラエル向きの)ニュースが出るようになったばかりなのに、急にこんな上記ニュースが出る始末であります。

チュニス 30日 ロイター] パネッタ米国防長官は30日、西側の対イラン制裁について、現時点ではイランの意思決定に明らかな影響を与えるには至っていないが、機能はしていると述べた。

今週のイスラエル訪問を控えた発言。イスラエルは、制裁の効果が出ておらず、イランが核開発を続行していると主張。爆弾攻撃が不可能な地下ウラン濃縮施設をイランが完成させるまでの時間は少なくなってきていると警告している。

パネッタ長官はイスラエルが制裁の効果に懸念を示していることについて記者団に質問され「経済面では」深刻な影響をもたらしていると述べた。

西側の対イラン制裁、効果は出ている=米国防長官| ワールド| 特集 イラン情勢| Reuters

で、今回の場合、アメリカさんはむしろイスラエルさんから突き上げを食らっているポジションなのでした。「経済制裁の効果がないならオレいっちゃいますけど」「おいバカやめろ」的な、暴発しそうな鉄砲玉と親分の構図。イラクの時とは逆のポジションなのがちょっと愉快ですよね。なのでアメリカさんとしてはその効果が出ないとマジヤバイと。あれだけ苦労して世界各国を巻き込んではじめた対イラン経済制裁の正当性を守るのに必死です。
故にその経済制裁の実効性を疑われるような事態はどうしても避けたいのでしょう。まぁ勿論そんなイスラエルの脅しなんて無視すればいいといっては身も蓋もありませんけど――イギリスとの仲を悪くする価値もないんだろうし、でもやっぱりイスラエルロビーの皆さまはコワイし仕方ないよね。


ということで色々大変なアメリカさんちの家庭の事情があるのだろうなぁと。
がんばれアメリカ。