「放出するなよ! 絶対に戦略備蓄放出するなよ!」

というべったべたなフラグのお話。


http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/34783
ということで原油価格が再び暴騰という所の一歩手前まできているそうで。
しかしまぁ上記リンク先でも言及されていますけど、前々回2008年のそれが中国やインドなどによる需要爆発だったに対して、前回に引き続き今回もどちらかというと供給不安という要素が強いわけですよね。リビアさんちのゴタゴタに続き、そしてソマリアやイランさんちのゴタゴタ、といった主に地政学の問題を背景としての高騰であると。

 それ以上に危険な案は、価格を引き下げようとして米国の戦略石油備蓄を早計に放出することだ。昨夏、バラク・オバマ大統領は備蓄を放出した。ガソリン価格が今後さらに大幅に上昇すれば、大統領は間違いなく、再びそうする衝動に駆られるだろう。だが、折しもイランからの本当に大規模な供給途絶のリスクがある時に、それは無謀だ。

 2012年の石油ショックを回避できるかどうかは、米国が国内外で冷静さを保てるかどうかに大きくかかっているのだ。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/34783

故に、こうした事態に際しては『過剰反応』を抑制することこそが本格的な石油ショックを回避するために重要な要素である、と上記エコノミストさんの記事ではまとめられています。まぁ仰る通りなんでしょうね。


しかしそんな前フリは数日後にはこうなってしまうのでした。
米英首脳が戦略石油備蓄放出で協議、数カ月以内に実施も| Reuters
「押すなよ!」と言われながら、しかしあっさり足を踏み入れかけているアメリカさんちなのであります。見事に某ダチョウさんの伝統芸の構図です。
でもまぁそれも解らない話ではありませんよね。実際、大統領選直前ということでタイミングが悪すぎます。それなりに優勢だとはいえ、最後まで何があるか解らない大統領選では、ガソリン高を看過した大統領、という評判は何としても避けたいのでしょうし。かくしてオバマさんは悪手だとわかっていてもやらざるを得ない状況に追い込まれつつあると。いやぁこんな風に政局に利用されるなんて大統領選ってヒドイ仕組みですよね。まぁ私たち日本は年がら年中似たようなことやっている気がしますけど。

関係筋によると、備蓄放出を開始するタイミングや、量、実施期間などの詳細は未定だが、詳細は夏までに合意できる見通し。

また、米政府は他の国にも協力を要請する可能性があるとした上で、日本もその中に入っている、と述べた。

米英首脳が戦略石油備蓄放出で協議、数カ月以内に実施も| Reuters

ともあれ、やっぱり日本にとっても他人事ではないわけです。なぜかもう既に備蓄放出要請に真っ先に名指しまでされてしまっていて微妙な気持ちになってしまいますけど、しかし原発を止めてしまっている以上元々ほとんど選択の余地はないんですよね。もう選択の余地なくそうした原油高騰の為の協力をやらないわけにはいかないのです。ぶっちゃけ足元を見られているとも言えますけど。
原発停止に酷暑に原油高、の内の二重苦だけでも大変なのに、更に上を行くまさかの三重苦に直面しつつある我らが日本。上記オバマさんを笑っていても、実はそんなオバマさん以上に追い詰められつつある私たちなのでした。ガソリン値下げ隊の出番は……あるわけがありませんね、ウフフ。