アメリカの『中東離れ』の副次的帰結のひとつ

エネルギー安全保障をめぐる20世紀前半の構図の復活。そしてその間隙を突くプーチンさん。



http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40132
まぁこの辺は、明らかに中東から「手を引きつつある」最近のアメリカさんちの行動の副次的な影響として書こうと思っていたお話でもあります。つまり、そもそもアメリカが1930年代から冷戦開始に至る時代において中東=特にサウジアラビアに石油権益構造を打ち立てていったのは、もちろん(結果として)自国用の為でもあったわけですけども、しかしそれと同じくらい冷戦構造下で「ヨーロッパの同盟国のニーズをその石油で充当しよう」とも考えていたんですよね。
現在もそうであるように、今も昔もアメリカさんちというのはやっぱり国内市場や国防上の問題から『自国の』それを同盟国相手にさえ輸出することにそれはまぁ消極的だった。故に彼らはその一石二鳥の解決策として、海外権益の確保に乗り出したわけであります。そうならなければ非常時に自国から輸出せざるを得なくなってしまうから。まぁそれがあまりにも上手く行き過ぎた結果、楽観から彼らの石油大量消費生活までが実現されてしまうんですけど。
――で、翻って現在、再びヨーロッパさんちのエネルギー安全保障の問題が浮上してきている。
ここにアメリカさんちがかつて20世紀前半に抱えていた当時の悩みが復活するわけであります。中東地域の混乱と、原発開発が減速することで、相対的にロシア産のエネルギー資源の重要性が再び増しているこのタイミングで、この有様であります。

 元シェブロン幹部で、現在は戦略国際問題研究所CSIS)の上級研究員を務めるエドワード・チョウ氏は、3月第2週までは輸出を巡る議論は国内問題を軸としていたが、ウクライナがこれを変えたと指摘する。

 「これまで我々は主に米国の国内経済にとって良いことか否かという観点でガスや原油の輸出について論じてきた。ウクライナ情勢によって、これまでいわば背景に潜んでいた地政学外交政策の側面が加わった」

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40132

自国で使うか、それとも輸出するか。ヨーロッパから離れたアメリカという国家が抱える伝統的なテーマの一つ。こうした光景って冷戦前までの、20世紀初頭から半ば辺りまで日常的にあった構図なんですよね。
しかし オバマは まわりこまれてしまった! - maukitiの日記
国際関係の一つの考え方として、こうしたエネルギー安全保障に重圧が加わった瞬間こそが色々とヤバいというのがありますけども、まぁ『21世紀型』外交を目指すオバマさんの思いとは裏腹に――そこを脱却しようとした結果が、『20世紀型』外交の古い構図が復活しつつあるというのはやはり皮肉なお話ですよね。