一石三鳥を狙う北朝鮮

石(飛翔体=missile)で同時利益を狙う、という点で実はことわざ通りなお話だったり。


北朝鮮、4月に衛星打ち上げを予告 写真2枚 国際ニュース:AFPBB News
ということで見事にちゃぶ台をひっくり返した北朝鮮さんちであります。
しかしまぁよく考えてみれば別に不思議な話ではありませんよね。だってここで合意してもご飯がもらえるだけじゃないですか。だったら同じ『国威発揚』をやるなら、ついでにアメリカとそして中国さんちに対してのカードとなるようなことをやった方が得だと考えたとしても、まぁおかしい話ではないのかなぁと。
タイミング的にはアメリカさんへあてつけとして報道では多く取り上げられていますけど、しかし停滞している六者協議(六カ国協議)を主導したい中国さんちにとっても、実はアメリカと同じ位に北朝鮮が斜め上に暴走してしまうのは困ってしまうわけですよね。だって暴走すればするほどアメリカが朝鮮半島に出張ってくるわけだから。ちなみにロシアさんちはもう一抜けしてます。


こうした関係性はまさに今のイランでの騒動で見られるような「アメリカとイスラエルの関係」であり、それとほとんど似た構図がそのまま今の「中国と北朝鮮の関係」であり、故に『中国の役割論』にも繋がっているのでした。ついでに子分である北朝鮮も抑えられない中国、というのはやっぱり外交的な瑕疵にもなってしまうのだろうし。
かくして、今回の衛星(ミサイル)打ち上げという行為によって、北朝鮮さんちはアメリカだけでなく中国にまで圧力を加えられるという、とてもコストパフォーマンスのいいパフォーマンスに打って出たのかなぁと。だから個人的には対アメリカという建前に見せかけて、実は対中国である、という側面が強いのかなと思います。
世界の端っこで核をさけぶ - maukitiの日記
だからやっぱり上記日記でも少し書きましたけど、イランに手一杯になりつつある大統領選挙前のアメリカだけでなく、六者協議再開に向けて動いていた中国国内でも薄熙来さんらの政治闘争でゴタゴタが続いている今を見計らって、という点ではまさに機会主義者たる北朝鮮の面目躍如の振る舞いであるのでしょう。確かに素晴らしいタイミングです。


さて置き、まぁ結局のところ、先代から続く伝統的路線はやっぱり継続されているというだけ、なオチではありますよね。つまり彼ら北朝鮮にとって『信頼関係』とは着実に積み重ねるモノのではなく――むしろ日頃からそれを反故にしておくことによって――ここぞという時の合意の価値を相対的に押し上げるモノだ、というお話であるのだと。不良が捨てられた犬を拾うパターンに近い感じです。