「愛と勇気さえあればなんとかなるはずだ」という精神主義の果て

私たちがいつか見た光景であり、ついでにごく最近もあったような気がしてあんまり笑えませんよね。



不履行回避のギリシャ、次は成長の壁 : FXニュース : FX講座 : マネー・経済 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/34802
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/34810
ということで運命(審判)の日でもあった3月20日にあった大量償還をどうにかこうにか乗り切ったギリシャさんちであります。3500億ユーロのうち1000億ユーロを帳消しにしたそうですよ。選択的・部分的デフォルトすごい。なにはともあれ、とりあえずはまぁ「良かったね」と見送り手でも振ればいいんじゃないでしょうか。第一部完。

 筆者は過去にも、似たような発言を聞いた覚えがある。何らかの形式的な進展(救済の傘や流動性注入、うまくいった債務交換など)があると、楽観論が戻ってくるのだ。

 欧州中央銀行(ECB)の政策が「時間を稼いだ」と思っている人は、「何のための時間か」と自問すべきだ。

 ギリシャの債務状況は相変わらず、持続不能だ。ポルトガルの債務状況も然り。欧州の銀行部門やスペインの債務状況も同様だ。たとえECBが2010年代の終わりまで低利資金を無制限に供与したとしても、それだけでは不十分だ。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/34802

しかしやっぱり、俺たちの戦いはこれからだエンド、でもあるわけでした。第一部未完。
結局そういうことではあるんですよね。つまり、一体何のためにこうして時間を稼いでいるのか? 時間の猶予さえあればギリシャをはじめとする国々の問題は解決するのか? それはただただ流動性こそが問題だったのか? というとまぁそんなことはなかったわけで。つまり借金の返済期限を延ばすのはいいんだけど、じゃあ一体どうやって返させるのか、という根本的なお話について。


でも、そんなことはそれこそユーロ導入当時から言われていたお話ではあるんですよね。つまり財政同盟を伴わない通貨同盟=単一通貨政策はまさにこのようにして――経済的に弱い国が益々弱くなることによって――失敗するだろう、と。しかしそうした懸念に対し推進派の皆さまは、私たちにはヨーロッパの恒久平和の為の『欧州連合』という壮大な夢がありその実現に至る一歩として是が非でもそれを達成しなければならない、なんていういけいけどんどんな覚悟と共に突き進んだのでした。
で、そんな「強い意志と参加国の協調さえあれば問題は克服できる」とした解決策(?)は、こうして実際の危機に際してまぁ見事にこうしてそんなモノ無かったことが証明されてしまったわけですよね。いやぁ悲しいお話です。精神主義じゃどうにもならなかった人たち。


このお話で更に悲劇なのが、そんな単一通貨を巡る根本的なシステムについての欠陥をどうすれば修正できるのかというコンセンサスが、しかしその修正の為の時間稼ぎに成功することによって逆に危機感が無くなってしまって棚上げされてしまう、といういやほんともう一体何が何だかわけがわからないよ的な点にあるのでした。
しかしそんな欧州さんたちの茶番を見て笑えるかというとそんなこともなく。むしろ、真に危機感が生まれるまではどうにもこうにも動けない素晴らしき民主主義制度にはよくあるお話だよなぁ、と生暖かい気持ちになってしまいますよね。そして時間稼ぎに成功したらその危機感など綺麗さっぱり忘れてしまう私たち。民主主義って素晴らしいなぁ。