ギリシャという練習台を越えて

その知見やノウハウをどれだけ蓄積できているのかと言うと……、うん、まぁ、がんばれ。


http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/34913
スペイン国債利回りが急上昇、国債入札受け| Reuters
スペインをギリシャにしないために、EUにできること−社説 - Bloomberg
ということでいよいよ「彼らの戦いはこれからだ!」の戦いが始まりそうです。

ギリシャの経済規模は小さい。だが、スペインはユーロ圏第4の経済大国だ。スペインが沈めば、そうした事態を防ぐことを目指しながら実際にそれに対処するにはあまりにお粗末だったファイアウオール(防火壁)も瓦解するだろう。欧州中央銀行(ECB)による低コスト資金1兆ユーロ(約108兆円)の供給による金融環境の安定も、偽りの夜明けに終わる。
スペインはEUの支援なしに危機を乗り切ることはできない。EUは自らの利益のためにも、スペインがより緩やかに財政再建の歩みを進めることを認め、その成長過程を支えるべきだ。
スペインは経済・財政・政治の崩壊という悪循環に飲み込まれようとしている。EUに行動する意思があれば、今はまだその危険を回避できる。しかし傍観姿勢を長く続け過ぎてスペインが倒れるのを許せば、ギリシャの悲劇などは子供だましだったということになる。

スペインをギリシャにしないために、EUにできること−社説 - Bloomberg

結局の所そういうお話ではあるんですよね。
ギリシャの問題はかなりの部分でその『欧州統合』という看板を守るためにこそ、解決が図られてきたという面がかなりあるわけで。彼らはそのプライドを守るために努力していた。まぁだからこそ、真に必死になることもなく、ああしてダラダラとグダグダなことをやるだけの余裕があったとも言えるんですけど。
その意味で、もし次のスペインさんが本気で潰れてしまうとそんな看板どころではなく、文字通り本体の致命傷になりかねないと。


さて置き。ここで疑問となるのは、では本気でヤバイとされるスペインさんちが危機に瀕した時、彼らは――それこそギリシャの時とは違って――真に必死になって取り組むのか? という辺りなのかなぁと。勿論その可能性はかなり高いのでしょうけど、個人的には逆に、むしろ何気にあっさり諦めてしまうというオチもあったりするんじゃないかと思ったりします。だってギリシャであれだけやって結局どうにもならなかったわけだし。
CNN.co.jp:スペインでゼネスト、労働改革と緊縮財政に抗議
そしてスペインさんちもかなりギリシャ化しつつあるわけで。
そもそも論を持ち出せば、上記引用先にもあるようにじゃあ初めから厳しい緊縮財政なんて要求しなければ良かったじゃないか、というのはものすごく正論ではあります。しかし先日の日記でも書きましたけどそんな自身の身を切らせることをせずに税金を投入することについて、「誠意を見せろ!」と怒る大多数の人びとをどれだけ説得できるのかというとそれも不可能なんじゃないかなぁと。
ヨーロッパの人びとに要求されている、『ユーロを守るためならば仕方ないか』という一体感について。ドイツの議会や、あるいはフランスの大統領選などを見る限り、その為のハードルはむしろ『ギリシャ以後』より上がっているんじゃないかと思うんですよね。


ということで、少なくとも東電の件*1やらを見る限り私たち日本人にも到底無理そうなお話なので、自分が出来もしない事を相手に要求するのは色々アレですので生暖かく見守るのがよろしいのではないでしょうか。「誠意を見せろ!」と怒っていながら他人事だとしれっと冷静になってしまう人たち。結構そういう人多そうなのが疲れてしまうお話ではありますけど。