よそはよそ、うちはうち

とりあえず去年のギリシャの騒動*1のことは棚に上げておく人たち。


欧州の緊縮疲れ表面化、フランスもオランダも波乱含み - Bloomberg
ということで財政規律重視派だったフランスのサルコジさんは絶望的な決選投票に挑むことになり、そしてオランダは一足先に連立政権内での同意を得られずに政権崩壊が決まってしまわれました。
いやぁあれだけギリシャさんちのことを「公務員天国だ!」なんて批判し、その改革の混乱をバカにしておきながら、結局このザマであります。特にそんな欧州内でもトップクラスに公務員社会だった(就労者の20%以上を占める)フランスで、人件費圧縮をやろうとしてもそりゃサルコジさんには不利だろうなぁと暖かい気持ちにはなりますよね。そしてオランドさんの「とりあえず公務員はもっと増やそうぜ!」という主張が受け入れられてしまうと。ギリシャの時はあれだけ文句をつけたのに。ごらんの有様です。
よそはよそ、うちはうち。そんな風に言ってしまえばそれまでなんですけど。

さらに、この日発表されたユーロ圏の4月の総合景気指数が予想以上の活動縮小を示し、緊縮財政への傾倒がユーロ圏経済をリセッション(景気後退)へ追いやっていることが示唆された。
一方、欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)のこの日の発表によれば、ユーロ圏17カ国の政府債務は2011年に合計で8兆2000億ユーロとユーロ導入後の最大に膨らみ、緊縮財政支持派の論拠となった。

欧州の緊縮疲れ表面化、フランスもオランダも波乱含み - Bloomberg

まぁ結局のところ、どちらも真理ではあるのかなぁと。
勿論緊縮財政が景気後退を招くということはほとんど定説に近いようなことが言われているわけであります。しかし、じゃあそれをやらずして一体どうやってあのギリシャなどに我が国民の税金を突っ込むことを納得させればいいのか、と聞かれれば答えはほとんど答えは出ているようなもので。それをどうにかこうにか解決するのが政治だろう、と言われればやっぱりその通りでありますが。
そうやって緊縮財政に走れば結果として景気後退に陥ってしまうし、しかし他国へ税金を投入する為のという大義名分でもある『誠意』を見せるためにそれをやらないわけにはいかない。前にも後ろにも進めない人たち。間に合わなかった『ヨーロッパ市民』の誕生。

メルケル首相は債務圧縮こそが経済立て直しへの道だとして譲らない。みずほインターナショナルの欧州担当チーフエコノミストリッカルド・バルビエリ氏はリポートで、「妥協の余地はあまり大きくないように思われる」として、「ドイツはその赤字の低さと財政規律徹底の厳格なメカニズムでユーロ圏での孤立をますます深めているようだ」と指摘した。

欧州の緊縮疲れ表面化、フランスもオランダも波乱含み - Bloomberg

今はまだ「ドイツへの反感」で済んでいるものの、その先にはあるものといえば……。ということで見事に危機が再燃しはじめたユーロさんちのお話でした。