破壊者か救世主か

次期大統領候補であるオランドさんを戦々恐々と見つめる人びとのお話。


http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35106
ということでオランドさんエコノミストの中の人に嫌われまくってます。まぁそりゃ英国の伝統的ポジションとしては理解できない話ではないよなぁと。

 どちらにしても、1つだけはっきりしていることがある。これほど強硬に変革を嫌うフランス大統領は、ユーロ存続のためにいずれは受け入れなければならない痛みを伴う改革を実行しようという欧州の意志を損なうということだ。だからこそ、オランド氏はかなり危険な人物なのだ。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35106

しかし先日のスティグリッツ先生のような「欧州の緊縮策は「自殺」への処方箋」なポジションからすると、こうした反緊縮を声高に主張をするオランドさんはユーロの救世主となるかもしれない、とも言えるんですよね。
上記リンク先でもエコノミストさんが「短期的には幸運な結果を生んでいる」とある程度までは認めているように。しかしそれを補って余りあるほどの他の欠陥が目に付いてしまうと。これでサルコジさんが危機感を持ってくれて方針を変更してくれれた上で、サルコジさんが再選されれば誰もがウルトラハッピーだったのに。しかしそうはならなかった。いやぁ悲しいお話ですよね。少し前にうちの国でも見たような光景であって他人事とは思えません。


反緊縮を叫ぶことはユーロを経済的に救うかもしれないけれども、しかしそれを叫んでしまうとユーロに政治的にとどめを刺してしまうかもしれない。そんな典型的なあちらを立てればこちらが立たずな状況。他人事としてならばとても興味深いお話ですよね。


かくしてオランドさんのそのポジションを欧州連合の一員として支持したい気持ちはあるけどあまりにもアレ過ぎる、ということで解りやすいジレンマに陥っているエコノミストさんの記事であります。まぁ勿論これが単なるポジショントークに過ぎない、という見方もできるんですけど。実際WSJさん辺りはユーロ内に広がる反緊縮な空気に対する社説として「今更成長だって? バカじゃねーの*1」という身も蓋もないことを仰っているわけで。ついでにFTさんも「公共支出では根本的な問題を解決できない*2」とバッサリです。
この辺りは緊縮か成長か、をめぐる色々と複雑な争いがあったりするんだろうなぁと。それを一言で説明することなんてとてもできない。エコノミストさんやWSJが(ある程度の)緊縮を推す一方で、しかし上記スティグリッツ先生やその最右翼でもあるクルーグマン先生などはそれを「欧州の自殺だ」とまで言い切っている現状について。
端からそれを眺めている私たちとしては、理想論として緊縮にしろ成長にしろ適度にバランスを取ってやればいいのに、とは他人事としては言えますけど、まぁそれも『選挙』という過程を経ると色々難しかったりするんだろうなぁと私たち自身の経験からも感じてしまいます。


ともあれ、ユーロ危機という舞台において、フランスの有権者たちはどちらを選択するのか、という点において5月6日の決戦投票はやはり重要なお話ではあるのでしょう。
仏大統領選、決選投票に向けオランド候補の優勢続く=世論調査| Reuters
仏大統領選:極右票は自由投票に ルペン氏が支持明言せず− 毎日jp(毎日新聞)
まぁ残り一週間にまで迫った所でこうした世論調査が出ている辺りもう半ば決まっている気がしなくもないですけど。しかしどっかの国とは違って、こうして世論調査がきっちりほぼ同じ回答が並ぶ辺りサルコジさんの勝ち目はほとんどなさそうだなぁと。ていうか本題とは関係ないんですけど、フランスの報道各社はこうしてほぼ数字が並ぶのに、どっかの国の世論調査は何であんなに各社で数字がバラバラになっているんでしょうね?