It's the economy, stupid

無限の成長を前提とした「政治」システム。


http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/37911
だから二年前にはもうヤバイって言ったじゃないですかー。
なぜ欧州は狭量さを示すようになったのか? - maukitiの日記
経済が良くない期間が長いと、その影響は政治的な混乱まで引き起こす。まぁそれは上記うちの日記でも大分昔から書いてきた当たり前のお話ではあるし、昨今の『アラブの春』を見てもしみじみ考えてしまうお話ではありますよね。
経済成長は(政治的)七難隠す。
その言葉が意味しているのは逆説的に、経済の停滞は(政治的)七難を呼び起こす、ということでもあるのだと。

 政治的会話が緊縮から成長に移っているのは心強いことだ。そして、ドイツが7月に特別閣僚会議を主催する時に、そのテーマが緊縮ではなく若者の失業問題になるのも心強い。

 だが、時間は残り少なくなっている。ユーロ圏では、経済と政治の間で競争が繰り広げられている。1年前は債券市場が敵だった。今は、ユーロに対する脅威は、欧州統合のすべてが依存している自由主義の秩序を覆そうとするポピュリストたちによってもたらされている。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/37911

なのでやっぱりこちらもこれまでの日記で書いてきた通り、欧州連合の未来はまさに経済的成功に掛かっているのでしょう。そうした視点からドイツさんの振る舞いを見ると、まぁことごとく裏目に出まくっている辺りとっても悲喜劇だよなぁと。おそらくヨーロッパの中でも最も欧州連合の夢に掛けていながら、しかし彼らのそのやり方こそが足を引っ張りまくっている現状。


さて置き、なのでしばしば囁かれる「政治家たちは庶民の暮らしにキョーミないのだ!」という言説は微妙に間違っていると思うんですよね。
むしろ彼ら政治家たちはそんな庶民へ経済的に――ウソでもいいから――安心感を与えることこそに心を砕いているのです。まぁそういう点に興味がない政治家たちがまったく居ないとも言いませんが、しかしそうした人びとは二重の意味で無能であるわけです。為政者として無能であるし、そもそもそんな態度が長期的に政治家としての自らの地位を脅かしていることに気づいていないという点で無能という他ない。
いつだってそれこそが彼ら政治家の正当性を保証する大義名分となる。経済が成長しているから良いではないか。概ねそれは間違っていないのです。
トルコ反政府デモで男性が撃たれ死亡、全土の死者2人に 現地報道 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
まぁだからといってあんまりやり過ぎると現在のトルコさんちみたいにもなってしまいますけども。


ちなみに、何かとバカ扱いされがちな前米国大統領であった子ブッシュさんは、そんな偽りの経済的安定「感」を与えることに長けていた大統領でもあったんですよね。
彼はあれだけ戦争に邁進しておきながら、その戦費を国民に「短期的には」直接負担を背負わせるようなことはしなかった。かつての前大戦時には「国民の奉仕」を求めた米国大統領は、しかし21世紀には「日常へ戻ろう」と国民に語りかけた。だからこそ、彼は国民の一定の支持の下――辛勝ながらも父ブッシュが失敗した二期目も勝ち、あそこまで無茶をすることができたのです。まぁだからこそ現在のオバマさんが負債に苦しんでもいるわけですけど。もしあの時代にアメリカの景気がもっと悪ければ、おそらく展開はまったく違ったモノになっていたでしょう。
その意味で、子ブッシュさんの外交政策はともかくとして、しかし国内統治としてはそこそこ成功していた、とも言われていたりするのです。あれだけの「バカな戦争」をやっておきながら、しかしそれを実行に移せるだけの政治的才能もあった。本当に無能だったらおそらく9・11の後ぐだぐだで何もできなかっただろうし。
まぁそれがアメリカにとって幸福だったのか不幸だったのかは知りませんが。


そしてアメリカ・ヨーロッパ・中国などと同様に、こうした教訓は私たち日本にとっても、他人事というわけでは決してないわけで。
現在話題のアベノミクスが失敗すれば、おそらく「より」ポピュリズム的な政党が生まれてくるでしょう。個人的にはその一点において、是非ともがんばっていただきたいなぁと思うところではあります。まぁその中間的な成功を受けたのかどうかは解りませんが、第一候補は勝手にコケてくれたので一安心ではありますが。
逆説的に言うと、安倍さんが掲げる「それ以外の」政策を嫌う人たちにとってはアベノミクスの成功にその将来が掛かってくるので、勢いそうした経済的成功に反発するというのは別にそこまで間違った戦略ではないんですよね。安倍政権を倒す為にこそ、日本の経済的失敗を願う人たち。まぁ別にうちの国だけに限った話ではないんですが、笑えばいいのか悲しめばいいのか。
結局、好むと好まざると、あるいは(もちろん民主主義政治では顕著ではありますが)中国のように民主主義政治でなかろうと、現代に生きる私たちの政治システムは安定性は経済成長を前提としているのです。だってそれこそが私たちの生活に真っ先に直結するわけだから。素晴らしき国民主権の世界。




経済こそ重要なのだよ、バカもの。