新たな「ならず者国家への挨拶状」

このままアメリカ民主党の対外政策の新しい主柱となっていくのかなぁ、というお話。


「無人機攻撃は合法かつ倫理的」、米大統領補佐官が講演 写真2枚 国際ニュース:AFPBB News
まぁなんというか、いかにもアメリカの民主党政権らしいお話だなぁとは思ってしまいます。何故かその無人機攻撃そのものの倫理性について怒られたりしていますけど、ぶっちゃけそういうお話じゃありませんよね。ただそのアメリカの国内法に照らし合わせて、戦争行為(一歩手前)のこの行為が大統領の権限として認められているのか否か。その意味で、この発言についてはどこまでいっても国内向きのお話でしかないのでした。
もちろん正戦論的にその無人機攻撃が「相手の生命を奪う作法」として正しいか正しくないか、という議論はあるんでしょうけども。

 米中央情報局(CIA)による無人機を使った対テロ作戦について、米国の高官たちはこれまで公の場で語ることを嫌ってきたが、ビンラディン容疑者が潜伏先のパキスタンで米軍特殊部隊に殺害されてから1年目を翌日に控えたこの日、ブレナン補佐官はこれまでにはなかった詳しい説明とともに作戦の正当性を強調した。

 対テロ作戦における「倫理」をテーマに語った演説の中でブレナン補佐官は、無人機による対テロ作戦は合法で倫理にも反しておらず、武装勢力から受けている攻撃に対して均衡の取れたもので、多くの米兵の命を救っていると強調した。

「無人機攻撃は合法かつ倫理的」、米大統領補佐官が講演 写真2枚 国際ニュース:AFPBB News

実際、前々大統領だったクリントンさん時代には、まぁそれはもうテロリストのアジトに向かってミサイル撃ちまくっていたわけで。こうした無人機の活用は、そんな民主党らしい思想の当然の帰結ではあるんじゃないかと思うんですよね。兵士の命を危険にさらすよりはずっと、ミサイルを撃った方がそしてプレデターを飛ばした方が、倫理的にマシだろうと。確かにそれは一面では真理ではあります。
しかしその反動として逆に、ミサイル打ち込んだって結果としては何も達成できなかったではないか、という『ブーツオンザグラウンド』な思想がその次の共和党政権下でのああした行為に行き着いてしまうわけですけど。


この辺りはベトナム戦争以来辺りからの国民世論と厭戦感情という『時間制限のある戦争』についての民主党共和党という両者のアプローチの帰結ではあるんじゃないかなぁと。民主党はそうやって「戦死者の出ない戦争」を目指し、共和党は戦力の集中による「早期終結」を目指した。どちらが正しかったのかについては色々議論があるんでしょうね。
「ここで殺っちまった方が後腐れないだろ」 - maukitiの日記
名実ともに『戦争を終結させた』大統領 - maukitiの日記
以前の日記でも少し書きましたけど、アフガニスタンからの撤退やそしてビンラディンさんの暗殺といった、オバマさんの決断について。それらと同様に、こうした無人機ってやっぱりオバマさん(そしてアメリカ民主党)の対外政策ととても相性が良いんだなぁと改めて思ったりします。その意味でこうした無人機の進歩は、一般に戦争好きとされる共和党なそれよりも、民主党の方がより影響を受けたりするんじゃないでしょうか。