ノルウェーの本当の試練はこれからだ

重大なテロ事件『以降』に全ての政治指導者たちが直面する難問について。


ノルウェー銃乱射事件で被告に禁錮21年、責任能力認める| ワールド| Reuters
ノルウェー77人死亡テロ判決、禁錮最高21年 : 国際 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
ということで判決が出たそうで。全員一致の「彼は正気だった」というオチ。まぁ一般の人々だけでなく当人さえも望んでいた結果ではありますよね。その意味で犯人・世論・法廷と「全員の意見が一致している」という珍しいケースなのかもしれません。
しかし改めて考えると、別にイスラム移民がそこまで多いわけじゃないノルウェーでこうした犯行を起こしてしまう彼の思考回路はちょっとよく解りません。思考回路はショート寸前だけどショートまではしていなかった。現実に存在していなかったからこそ、むしろその妄想は暴走の余地が生まれてしまった。だからこそ、ああした蛮行に至ったということになるのでしょうか。



ただまぁ今後のノルウェーでは色々苦労しそうだと思わずにはいられないんですよね。もちろんその制度の理想と現実の乖離(終身刑も認めていないくせに、今回のような件ではフツーに一生堀の中に入れて決着しようとしている所とか)に関してもそうなんですけど、ぶっちゃけもう『次』は許されないわけだから。
それは9・11後にアメリカ大統領に背負わされた絶対の義務と同様で、一度目は百歩譲って「想定外だった」で済ますことはできるんです。しかしもしもう一度同じこと起きてしまったらそれはもう確実に取り返しがつかなくなってしまう。そんなことをもし看過してしまったら次からは政治的に確実に死んでしまう失態なのは明白なのです。人びとの「一度目があったのに、何故二度目が防げないのか!?」という至極真っ当な怒りについて。かくしてその対応は(まさにオバマさんも陥っているように)、しばしば、過激なものとなってしまうわけですよね。
だからこうした重大事故やテロ行為って政治的なダメージとしては二度目以降の方がずっと大きいのです。そしてその恐怖こそが彼らの今後の選択肢を縛ってしまう。
これからしばらくの間ノルウェーの政治指導者たちはそんな「ブレイビクの再来」に怯え続けることになるのでしょう。そして彼らはその為に一体どうするつもりなんでしょうね? 
もちろん事件直後にノルウェー首相が述べた「より開かれた民主主義と寛容でそれに応えるだろう」という信念は素晴らしいと思いますし、それでも現状からブレることはないという決意も賞賛されるべきでしょう。当然今のストルテンベルグ首相は今回の件でも警備体制の不備は指摘されていますけど、それでも彼はあくまで「不意打ち」を受けた側であからこそ、そうしたポジションに立つことが出来ていることもまた事実なわけです。
しかし「次」の首相からはそうも言っていられなくなるんだろうなぁと。事件直後のある種の熱狂が終わってからはじまる、彼らの再発防止策について。


そんな「本当に地獄はこれからだ」オチ。がんばれノルウェー