共和党の憂鬱

色々将来のことを考えると気が重くなるしかない米国共和党の皆さんの苦難。


http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35987
まぁ個人的にもロムニーさんの副大統領候補はルビオさんの方が面白いんじゃないかと思ったりしましたけど、前回のマケインさんのアレっぷりを考えると色々と冒険に出るわけにはいかなかったんだろうなぁと。ティーパーティの申し子たるライアンさんもそうだろうと言ってはその通りなんですけど。

 現在、米国の人口の約63%が白人だ。だが、2040年ごろには、米国は恐らく「マイノリティーが多数派の国」になる。ヒスパニックは現在、米国の人口の16%を占めている。だが、米国で昨年生まれた赤ちゃんの26%はヒスパニック系だ。

 共和党は悪循環にはまり込む恐れがある。予備選で投票する党員の多くが米国の人口動態の変化に不安を覚えている年配の「アングロサクソン系米国人」であるため、共和党の指名獲得を目指す候補者は多かれ少なかれ、移民に対して強硬姿勢を取らざるを得ない。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35987

ともあれ、やっぱりこうした人口動態の変化や、そしてあの9・11の余波はこうした所にまで及んでいるのでしょう。実際、前回のブッシュさんの最初期なんかは、かなりヒスパニック寄りのポジションであったんですよね。「温かみのある保守主義」なんて。そこはさすがヒスパニック問題の最前線の一つでもあるテキサス州元知事というだけあって、だからブッシュさんといえば中道派でむしろそうした白人保守層から懸念されてもいたのでした。まぁそうした問題は9・11で全て吹っ飛んでしまったわけですけど。
あれから10年以上経過し、そうした反発は年を経るごとにむしろ強まっていき、その一方で彼らヒスパニック・ラティーノの人たちの存在感は高まり続けていると。


こうした移民問題のジレンマに悩む米国共和党のそれは、しかしまぁ仕方がないと擁護できる面もあるんですよね。だってこれまでのアメリカの歴史上初めての事態なんだから。よく『移民の国』なんて言われてきた彼らが直面する、移民が移民を呼ぶ、という初めての事態。それこそ「移民に対しての強硬姿勢」なんて、むしろアメリカの歴史においてほとんど常にそうだったとも言えるわけで。それでも彼らの国はその魅力によって移民を集めてきたわけであります。そしてそんな移民たちは、新しい移民に対して「ライバルが増えるから」と移民規制に賛成し背後の扉を閉めようとする、という構図こそが日常であったのでした。
しかしヒスパニック移民の登場によって、そうではなくなってしまった。移民が移民を呼ぶというアメリカにとっての新時代へ。一度始まってしまった彼らの政治組織化は、「より多く支持者を増やす為」という解りやすい目的によって更に後押しされていくのです。
その意味で、上記引用先のタイトルにあるように「今年の選挙が(今のままの姿で居た場合の)共和党の最後のチャンス」というのはやっぱりその通りなのかなぁと。アインシュタイン先生の有名な予言*1じゃありませんけど、次の大統領選挙がどうなるかは解らりませんが、しかし次の次の大統領選挙では確実にヒスパニックこそが最大の焦点になっているだろうから。

*1:第三次世界大戦についてはわかりませんが、第四次大戦ならわかります。石と棍棒でしょう」