アイドルは破壊されるべきである

偶像崇拝を禁じる人たちが、こうしてある種の『アイドル』を狙うというのは色々示唆的だなぁと思ってしまったお話。


子どもの権利擁護活動の14歳少女、頭を撃たれ重体 パキスタン 写真5枚 国際ニュース:AFPBB News
CNN.co.jp : タリバーン批判で14歳少女銃撃は「そこにある危機への警鐘」 パキスタン外相 - (1/2)
ということで、パキスタンでの児童の権利擁護を訴えた14歳の少女が銃撃され重体となった、というとても救えないお話。結果として見れば、彼女のその勇気ある行動を「国家平和賞」という形で賞賛してしまったからだ、と言ってしまうのは多分に結果論であるのかもしれませんが、やはりそうした面は大きいのでしょう。アイドルとなったからこそ狙われてしまった彼女。


その意味では、受賞したことによって『体のいいエサ』になってしまった感はやっぱり強いですよね。過激派は同じ労力で、ただの無名の運動家を一人殺すよりもずっと、こうして著名となった少女一人を殺す事でより大きなリターンを手にすることができてしまっている。どうしようもなく悲しいお話ではありますけども、やはりこうした事態は彼ら抑圧する側の本来の目的である「一般大衆への示威行為」という点でより大きな効果をもたらしているよなぁと。
ものの見事に『見せしめ』として狙われてしまった少女。
結局こうした社会においては「噂を駆け巡らせる」という手法は今尚とても有効であるのです。わざわざ反抗的な人をいちいち地道に狙うのではなく、より重要人物を狙うことで、間接的に多くの人を大人しくさせることが出来る。もちろんそうはならずに、広く怒りの声が上がるのかもしれません。しかしこうした「無差別な暴力」がもたらす恐ろしさというのは一般の人びとにとって、存在する中でも最も強力なインセンティブとなるのもまた事実であるわけで。だからこそ恐怖支配というのは結構長続きするし、そしてテロリズムは成果を上げるのです。
かくして昨今のパキスタンではこうした事件によって益々「恐怖による沈黙」という状況が進んでしまっている。
「受賞なんてしなければ良かったのに」なんてことは勿論言えませんけども、しかしもうちょっとその後の配慮はあって然るべきだったよなぁと。こうして持ち上げといてあっさり襲撃させてしまったら、むしろ過激派の利益にしかなっていない。ぶっちゃけそれは本末転倒どころか逆効果でさえあります。
別宗教の偶像を破壊する人たちが、またこうして別の価値観における『アイドル』の殺害を企む構図。まぁ一貫してそういう人たちなのだと言ってしまっては身も蓋もありませんけど。


さて置き、パキスタンの政府はこうした関連組織と(対インドのために)手を結んでいたり敵対したりしていてほんともうお手上げ状態なわけで。連邦直轄部族地域こわい。その一方で以前のうちの日記「正しい戦争だからセーフ」と考えたブッシュさんと、「戦争じゃないからセーフ」と考えているオバマさん - maukitiの日記でもオバマさんの無人機爆殺祭りを揶揄ったりしましたけど、その主戦場の一つはこうしたテロの恐怖が支配するパキスタン北西部だったりもする。反米感情を育んでしまっていると同時に、(それなりに)世俗的な政府を助けてもいたりする。いやぁ世界は複雑すぎてわけわかめでありますよね。


みなさんはいかがお考えでしょうか?