「なんちゃらゲート」待望論のはずが

逆にドラマがありすぎて埋もれちゃった感。


オバマvsロムニー大統領選最終盤。「どっちが勝っても〜次の4年は景気回復基調。勝者総取りだ」説も - QUIET & COLORFUL PLACE- AT I, D.
ということで、9月辺りにはロムニーさん人気無さ杉で事実上撤退するんじゃないかと囁かれる位盛り上がらないモノになるかと思われたアメリカ大統領選も、なんだかんだで大接戦であります。一般に現職有利とされる二期目の大統領選はまぁ今回のように「大接戦」なんて所にまでは大抵行くんですけども、やっぱり最後には現職の側が寄り切ってしまうわけで。それでも対立候補が勝つとすれば、やっぱりより劇的なニュースが必要なのだろうなぁと。
――で、今回はそういうネタが多かったんですよね。選挙直前の「経済統計」とか、リビア大使館襲撃にまつわる不祥事の隠蔽が疑われる「ベンガジゲート」とか、そしてまさかの「サンディ君襲来」であります。いやぁニュース多くてウォッチャー大歓喜でありますよね。

父親のブッシュが、ものすごい経済後退の最中に選挙戦に突入し、そしておなじく最終盤で統計指標が好転しはじめて「もうすぐ不況は終わります!!」と言ってたが時既におそし、となったことがあったかな。

オバマvsロムニー大統領選最終盤。「どっちが勝っても〜次の4年は景気回復基調。勝者総取りだ」説も - QUIET & COLORFUL PLACE- AT I, D.

実際、数少ない現職の敗北事例である1992年の父ブッシュさんと夫クリントンさんとの大統領選の時は、(公約違反だった)増税や景気後退など色々あってその差は詰められ、そしてちょうど選挙一週間前辺りのこの時期に見事にそんな爆弾が爆発したのであります。選挙直前になってのイランコントラ事件の蒸し返しとパスポートゲートによって、それまで何とか拮抗していた父ブッシュさんの支持率は、20年前の今頃というタイミングで見事に大暴落してしまって以下略。
このまま大問題化すると、それこそ上記父ブッシュさんと同じ可能性があるんじゃないかと。個人的にそうした最後の一押しとなる疑獄として機能するかもしれないと期待していたのが『ベンガジゲート』のそれだったんですよね。
In the Strawberry Field:エントリー “リビア領事館襲撃、現場からの度重なる援軍要請を無視したオバマ政権”
ベンガジ襲撃事件のその後: 極東ブログ
あまり日本語の記事では大きな扱いになりませんでしたけど、あちらの保守系の人たちはそれは選挙直前ということでまぁ大盛り上がりだったわけであります。ちなみに個人的に面白かったのが、この失態を巡って国務長官たる妻クリントンさんが大統領を庇おうと「やめて! 悪いのは私よ!*1」と華麗に悲劇のヒロインを演じようとしてみたものの見事に空回ってた点です。
まぁ選挙直前だからと毎回のように「なんちゃらゲートや!」と過剰に煽り立てるのは端から見てもかなりアレなんですけども、ウォーターゲート以来、こうした点がアメリカさんちの日常風景ではありますよね。直接選挙のデメリットの一つ。



閑話休題
「サンディ」去った米東海岸、死者は北米で43人に 写真15枚 国際ニュース:AFPBB News
コラム:米大統領選、サンディの追い風はどちらに| コラム| Reuters
ところがまさかの大ニュース祭りで、逆に一つ一つのニュースソースが薄れてしまい、挙句にはサンディ君大暴れで選挙戦が休止モード=事実上ロムニーさんの出番だけが減る、という斜め上の展開になってしまったのでした。ニューヨーク水没。いやぁオバマさん天運があるなぁ。特にそうした災害救助のような場所での「見栄えのするパフォーマンス」という点ではオバマさんは大得意なわけだし。父ブッシュではなくまさかの子ブッシュのパターンに。
これがあと一週間後だったら、あるいは一週間前だったら行政側と住民側の意識のズレによる不可避な「対策の遅れ」によって色々と不満も出るタイミングだったかもしれないのに。ところがサンディ君は見事すぎるタイミングでやってきてしまった。こんな展開フィクションでやったらものすごく怒られそうですよね。あとオバマさんの伝記が盛り上がりそう。


両者の政策云々はともかくとして、クソつまらないものになるかと思われた今回の大統領も、かくしてなんだかとても面白いことになってしまったなぁと。明日は最後の爆弾である雇用統計であります。赤青みんながんばれ。