米国共和党の(再)中道化に避けては通れない道

ブッシュさん再評価。


CNN.co.jp : ブッシュ前大統領、「ダメ大統領」の汚名返上? 米世論調査
ブッシュさんが再評価されつつあるそうで。まぁ確かに端から見ていても、前回大統領選の時から続く最近のあまりにもラディカル過ぎる共和党は正直どうなのかと思うところではあるので、健全化への第一歩ではあるのかなぁと。

今回の調査によれば、米国民の55%はブッシュ政権が失敗だったと答えたが、これは退任直前の2009年1月の調査と比べると13ポイント少ない数字だ。ブッシュ政権が成功だったと答えた人の割合は42%で、これは前回調査より11ポイント増加した。
ブッシュ前大統領の2期目の支持率は高いとはいえないものだったが、政権に対する評価は時間の経過とともに改善されてきているようだ。CNNのキーティング・ホランド世論調査担当ディレクターは、この傾向が続くだろうと分析。「過半数の米国人は今も彼を失敗した大統領と見ているが、その割合は大きく減ってきている」と指摘した。

CNN.co.jp : ブッシュ前大統領、「ダメ大統領」の汚名返上? 米世論調査

『9・11』以後での外交面ではともかくとして、同時に本来あった内政面での「ブッシュ色」をも消そうと努力した結果、元々共和党の中でも穏健派だったブッシュさんの色までも消してしまっているわけで。父ブッシュさんから続く『温かみのある保守主義』という共和党の中でもかなり中道的だった彼らの政策の衰退。その結果が党内における中道勢力の消失であり、あの見事に尖りまくった有様だったわけで。ロムニーさんを選んだ所までは良かったものの、しかし彼もそうした党の影響から抜け出すことはできなかった。
まぁそれもこれも、やっぱり、そんなにも人気の無かったブッシュさんの責任でもあるんですけど。


さて置き、我が国でもそれこそ「無能」の筆頭として扱われるブッシュさんではありますが、そもそもそんな地味で凡庸な彼が大統領となったのは、あの前任者たるクリントンさんのカウンターでもあったからですよね。
スマートで切れ者だったクリントンさん。
――でもそんな彼は、執務中にオーラルセックスを楽しみ、挙句その言い訳が「挿入していないから不倫ではないが、『不適切な関係』だった」なんて口走る男でもあった。『米国大統領』についてのイメージを決定的に貶めた歴代大統領の一人。
その意味で今回の再評価に関しても、普段は隠せているもののふと油断するとエリートっぽくてイヤみな態度が透けてしまうオバマさん、あるいはとても――必要以上にビジネスライクたろうとするオバマさん、に対する一つのカウンターでもあるのかなぁと。無能で凡庸だったかもしれないけれど、しかし伝統的な地方のアメリカ人の価値観を体現してもいたブッシュさん。
ニクソンさん以来顕著となった米国大統領選挙の日常風景。前回の大統領に欠けていたモノを見出そうとする有権者たち。不毛な話ではありますよね。



ともあれ、まぁ確かに幾つもの「バカげたこと」をやったブッシュさんではありますが、しかしそこを全て否定してしまわなければいけなくなったからこそ現在の共和党の迷走だったりもするのではないかなぁと。やっぱりその意味でブッシュさんが諸悪の根源という言い方にはそれなりに正しくもあるんですけど。
ブッシュ前米大統領、弟ジェブ氏に16年出馬勧める 写真3枚 国際ニュース:AFPBB News
弟ブッシュさんにそういうお話が出ている辺りは、少しマシな展開になってはいるのかもしれません。ただまぁ正直「次」だと、記憶が強すぎてあんまり勝てる気はしませんけど。