マリとシリアを分かつもの

一体どこで差がついたのか?


仏軍、マリ北部を空爆 イスラム勢力は逃走 写真7枚 国際ニュース:AFPBB News
仏軍がマリ空爆を継続、周辺諸国は陸上部隊投入を準備| ワールド| Reuters
ということで去年の中ごろ辺りから話題になっていたマリさんちはついにフランスさんの軍事介入だそうで。
とりあえずは空爆からだそうですが、しかし数多の戦訓が教えてくれているように、やっぱり空爆だけではどうにもならないことが殆どなので、今後の焦点としてはいつ「地上軍」が出てくるか、という辺りが焦点となるのでしょう。まぁ逆説的に、その見通しがようやく立ったからこそ今になってフランスさんちが動き出したということでもあるのでしょうけど。多分。
しかしまぁアメリカさんが主役だと大ニュース(非難の大合唱)だけど、フランスさんがやるといまいち地味なニュースとなる辺り、超大国たるアメリカさんの悲哀という感じで色々と少し同情してしまうお話でもあります。自己の権益丸出しで他国に軍事介入する人たち。その点では、アメリカだけが例外なわけでは当然なくて、まぁそれはどこでも同じなのだと。


ともあれ、今回のマリへの介入に関して――これまでも何度も書いてきた日記ネタではありますが――また興味深い議論となりそうなのがその『介入基準』だなぁと。何故イラクは批判され、リビアは介入を受け、シリアは無視され、そしてまたマリは介入を受けたのか?
リビアとシリアにはあるけれど、イラクやマリにはなかったものってなーんだ?」
――それに対してフランスさんはこう答えるわけであります。

マリの旧宗主国であるフランスは11日、武装勢力によるマリ北部の制圧が欧州に安全保障上の脅威を与えるとし、マリ政府の支援要請を受けて軍事介入を決定した。

仏軍がマリ空爆を継続、周辺諸国は陸上部隊投入を準備| ワールド| Reuters

もちろん「国際社会全てが支持している*1」なんてことも建前としては言っていたりもしますけど、おそらくこちらの方が身も蓋もなく本音であるのだろうなぁと。
そして実際そうした懸念はそれなりに真実でもあるのでしょう。まさにマリがイスラム過激派などによってコケるということは、つまり地中海を挟んで隣接する北アルジェリアや、今後のアフリカ経済の中心となるだろう西アフリカを直撃することになる。それこそ懐かしの『ドミノ理論』のごとく。
しかしやっぱりそれはかつてのベトナム時代というだけでなく、あの9・11以後にアフガニスタンそしてイラクと立て続けに介入したアメリカさんちとほとんど同じような理屈でもあるわけで。そこでフランスさんちはヨーロッパ全体の、そして国際社会全体のとエクスキューズしていますが、それさえもやっぱりかつてのアメリカさんちと同じ姿でしかない。


どこの『裏庭』でもない故に――厳密にはトルコやイランの裏庭ではあるんだけれども彼らには「まだ」それだけのパワーがない――放置されるシリアと、一方で、こうした準備万端軍事介入を受けようとしているマリ。
いつか見た光景である、ペルシャ湾南シナ海を語る彼ら、と同じ顔をしている人たち。だってそこは私たちの『核心的利益』なのだから。
そしてその命運が分れる、介入される人たちと、無視される人たち。そのどちらが幸福なのかはよく解りませんが、結局その基準を決めるのは被害の大きさでも危機の大きさでも正義の大きさでもなく、やはり「大国たちの都合」というとても身も蓋もない現実なのでしょうね。
いやぁりありずむのしはいするこくさいせいじってすばらしいなぁ。