『アラブの春』による自由の配当を受け取る人びと

それはやっぱり過激派な人たちも同様だったのだと。


政府が7邦人の死亡を確認、アルジェリア人質事件 写真7枚 国際ニュース:AFPBB News
アルジェリア人質事件で首相が会見、「外国人37人死亡」 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
ということで――とりあえずこの件に限っては――事件は終幕したそうで。七邦人の死亡。昔からこうした場合に「日本政府は頼りにならない」ということは言われてきましたけども、じゃあいざ頼りになるようにしようとした場合、一体どうするつもりなのかというお話が持ち上がってまた愉快なことになるわけであります。実際、自民党は法改正を考えているそうで。グンクツノアシオトガー。
これまで何度も戦争の建前として使われてきた「自国民の保護」は、しかしそれはそれとして、だからといって無視して良いわけでは決してないわけで。これまでは見事に(国民の事実上の総意として)無視してきたんですけど。
それを見て見ぬフリをしながら「内需頼みをやめて世界へ羽ばたこう!」とか「金を払って買えばいいじゃないか」なんて言っている辺り、まぁ気の抜けるお話ではあります。



さて置き、しかしまぁ今回の件を振り返ってみると、これまでも何度か書いてきた「あるある」な構図ではあるんですよね。
キルギスに見る「歴史上のよくある不幸」 - maukitiの日記
抑圧する独裁者を倒してみたら、その独裁者が抑圧していたのは無辜の一般市民だけではなかった、という王道な展開。少し前にはイラクフセインさんもそんな感じでしたよね。リビアチュニジアなどで、独裁者たちがどうにかこうにか抑え込んでいた原理主義者たちまでもが『アラブの春』によって行動の自由を手にしてしまった。
そしてそんな政治的空白によって、サハラ砂漠一帯が所謂テロリストの「聖域」となってしまいつつある。
あのアメリカがアフガニスタンで死ぬほど苦労したAfPakの構造*1そのものとなってしまっている現状。そりゃアメリカさんも手を出したくないと思うのも理解できますよね。軍隊が追って来れない国境線の向こうにある安全地帯を使ってヒットアンドアウェイを繰り返し縦横無尽にテロ活動に励む彼ら。それは世界最強の軍事力を持つアメリカさんちでさえ、結局最後までどうにもできなかったわけであります。


アラブの春』によって生まれた政治的空白。そしてその隙間に入り込もうとする人びと。その根本的解決=掃討作戦の難しさは上記のようにアメリカさんが証明してしまっているし、かといって後継となる政権が(都市部は別としても)かつての独裁政権のように地方までも安定した統治ができる見込みも現状を見る限りあまり高くもない。個人的にはそうしてパキスタンの様なコースを辿ってしまうのではないかなぁと思う所ではあります。

 セラル首相はこの襲撃は2か月前から計画されたもので、当初は交渉におよる解決を目指したものの、武装勢力の態度は強硬で、要求してきたイスラム過激派服役囚の釈放は受け入れられないものだったとして同国軍が厳しい対応を取ったことを擁護した。

アルジェリア人質事件で首相が会見、「外国人37人死亡」 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

かくしてアルジェリアのような国はそうした『野蛮人』への抑止力として軍隊を動かそうとする。
今後しばらく頭を悩ます頭痛のタネとなりそうであります。


がんばれそこら辺の国の人たち。