ソ連崩壊は東にユーロ危機は西に

はにはに


http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/37423
もちろんFTさんたちヨーロッパ側からすれば「ヒビ」という視点になるんでしょうけども、しかし端から見れば、むしろロシアさんちにとっては好機でもありますよね。経済危機による「ポスト・ソビエト空間」をめぐるパワーバランスの変化。ロシアの裏庭を取り戻せ。

 「プーチンは西側の民主主義に基づく市場経済が崩壊したと考えている」とアレクサシェンコ氏は言う。「だから合意をまとめようとする意味が見いだせない。キプロスに関する今回の決断は、プーチンに対する本当に大きな贈り物だ」

 シンクタンクカーネギー国際平和財団モスクワセンターのドミトリー・トレーニン所長は、プーチン大統領EUとの協力から手を引き始めたと言う。代わりに大統領が重視しているのは、近隣の旧ソ連諸国を再統合し、「ユーラシア同盟」という統一経済圏を築くことだ。

 ユーラシア同盟ができれば、中国と欧州に対するロシアの交渉力が強まり、対EU関係は貿易を軸とした「ブロック対ブロック」の関係にできる。キプロス問題の影響でその傾向は強まる一方かもしれないとロゴフ所長は言い、「この一件でロシアは一段と欧州に背を向ける恐れがある」と話している。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/37423

元々プーチンさんの二期目辺りから、こうした『意思』そのものは見せはじめてもいたわけで。しかし絶頂期にあったユーロはそれを許さなかった。
あの悲劇的なソ連崩壊から、どうにかこうにか(資源の力によって)立ち直った彼らが目指したのは、かつてのような広大なソ連「そのもの」というよりはむしろ、大国――ある意味では『宗主国』のような威厳を取り戻したいと願っている。旧支配者たる我々の正当な権利として。
ソ連崩壊の後に西側に刈り取られまくった「ポスト・ソビエト空間」について。今更再併合なんてことを望んではいないものの、緩衝地帯として再び我々の影響下に。最早ユーロの一部となってしまったバルト三国はともかく、ベラルーシウクライナを再び「こちら側」へ。


ということで現状のユーロ危機という敵失は、そんなロシアにとって千載一遇の機会となっていると。


まぁなんというか、かつて起きた(まさに経済危機による)ソ連崩壊というパワーバランスの変化が、またこうして同じく経済危機によってその均衡点が移動する可能性が生まれているのは色々と考えさせるお話だよなぁと。西へいったり東へいったり。解りやすい軍事力という事実に目がいきがちだけれども、しかし現代世界ではいつだって背景にあるのはその身も蓋もない経済力という事実であるわけだから。
私たち日本が悩む中国さんちの台頭も、つまるところその経済的影響力の決定的な勃興こそがその背景にあるわけだし。いやぁまったく他人事ではありませんよね。