中東の火薬庫

延焼しつつあるシリア内戦。


米大統領、シリア化学兵器使用で「事態は一変」と警告も慎重姿勢 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
ということで先月辺りからあったシリア政府軍のサリン使用の「疑い」はかなり高い可能性として扱われているそうで。

【4月27日 AFP】内戦が続くシリアで政府軍が化学兵器を使用した疑いが出ている問題で、介入を求める圧力が国内外で高まっている米国のバラク・オバマBarack Obama)大統領は26日、化学兵器が使用されれば「事態は一変する」だろうと警告した。一方で、米政府はこの問題に慎重に対処し、化学兵器がいつ、どのようにして使われたのかを実証する必要があるとも述べた。

 米当局はこれに先立つ25日、シリア国内で起きた複数の小規模な戦闘で、化学兵器サリンが使用された可能性があると発表。オバマ大統領はシリアのバッシャール・アサドBashar al-Assad)大統領に対し、化学兵器の使用は「レッドライン」(越えてはならない一線)だと警告し、米国と各国による調査の実施を約束していた。

米大統領、シリア化学兵器使用で「事態は一変」と警告も慎重姿勢 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

ただまぁやっぱり扱いが難しくなってしまうのは、そこまで大きな被害が出ているわけではない、という点なのだろうなぁと。もちろん本気で使いまくればそれなりに効果は上がるのでしょうけど、しかし「レッドライン」は明確に越えてしまう。
一方でこうして小出しにして使えば、とりあえず相手の反応を窺うことができるわけで。大量死じゃないけど大量破壊兵器。批判の先鋒たる国際社会=欧米=特にアメリカにしても、出来れば介入したくないのは明らかなので、こうしてオバマさんのようにとりあえず舌鋒だけは鋭くなるもののやっぱりそれだけ。
おそらく今後の展開としては、現状でもやっているように国連調査団の足止めをひたすらに続けながら「レッドライン」を越えないようにするのだろうなぁと。そうして時間を稼いだ先に何があるのかと言われると困ってしまうんですけど。まさか自滅覚悟のジェノサイドなんて――フセインさんやカダフィさんでさえやらなかった――一文の得にもならないようなことやるわけないだろうし。


――で、むしろ可能性があるとすれば、こちらの方なのかなぁと。
シリア内戦:ヒズボラが大規模介入 レバノン国境に進駐− 毎日jp(毎日新聞)
イラク:宗派抗争再燃も 死者、5日間で170人− 毎日jp(毎日新聞)
シリア東西の隣国への混乱の輸出。その為の時間稼ぎ。

 特にフセイン政権下で優遇されてきた少数派のスンニ派は、シーア派主導のマリキ政権下で軽視されているとの不満が根強く、昨年12月ごろから反政府デモを活発化。国際テロ組織アルカイダ系のスンニ派過激組織によるシーア派に対するテロも頻発している。

 06〜07年にはシーア派聖廟(せいびょう)爆破事件を機に宗派対立が激化し、5万人以上が死亡したとされ、今回の衝突も大規模な宗派間抗争に発展する恐れがある。隣国シリアの内戦を巡って、アサド政権を支援するイランやレバノン武装組織ヒズボラなどシーア派勢力と、反体制派を支援するサウジアラビアやトルコなどスンニ派勢力の緊張が高まっており、周辺国を巻き込んだ衝突になる可能性もある。

イラク:宗派抗争再燃も 死者、5日間で170人− 毎日jp(毎日新聞)

更にはそこにあのイスラエルさんちも構えていると。
いやぁ見事に『中東の火薬庫』となりつつありますよね。ほんともう一体なんでこんなことに。