『アラブの春』のとばっちり

そのものというよりは、その後の混乱による余波。


イスタンブールの反政府行動、機動隊撤収 首相は再開発継続を明言 写真3枚 国際ニュース:AFPBB News
トルコ反政府デモ、全土に拡大 1700人以上を一時拘束 写真4枚 国際ニュース:AFPBB News
トルコで反政府デモが拡大 発端は公園の存続運動 - WSJ
ということでトルコさんちは大騒動だそうで。数万人規模のデモに、衝突による死者なんてものすごい。オリンピックの影響云々も結構言われていて、東京も色々あったと思っていたらライバル視していたトルコもご覧の有様に。なんという負の連鎖。

 今回の反政府デモはタクシム広場の再開発に反対する抗議集会から発展したもの。再開発反対デモを警察が強引に鎮圧しようとしたため、保守的・権威主義的な傾向を強める政府に対する怒りへと雪だるま式に拡大した。5月27日以降、全国67都市で235のデモが行われ、レジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)首相が2002年に政権の座に就いて以来、最大規模の反政府デモとなっている。

 首都アンカラ(Ankara)では、首相官邸に向けてデモ行進しようとした約1000人のデモ隊に対して警察が催涙ガスと放水銃を使用した。エルドアン首相は2日に行った演説で、「彼らは私を独裁者と呼ぶ。謙虚な公僕が独裁者に例えられるというのなら、私は返す言葉がない」と述べた。 (c)AFP

トルコ反政府デモ、全土に拡大 1700人以上を一時拘束 写真4枚 国際ニュース:AFPBB News

まぁ構図としては直接『アラブの春』の余波というよりは、むしろそれら各国の「以後の混乱」を見たことによる影響の方もかなり大きいのかなぁと。ほとんど全ての国がそうなっている、イスラム政党による混乱が現政権への反発という形でトルコで投影されている。まぁその意味で広義の『アラブの春』と言うことはできるのかもしれません。
そもそも、トルコさんちといえばもう十年も前にああした(独裁傾向の強かった)世俗主義的な政権及び軍から、穏健的なイスラム政党が政権を奪うという『春』の、なぜか無駄に性能の良いプロトタイプという感じで上手く実現させてもいたわけで。
――その遅れてやってきた反発・揺り戻しがこうした形で出てしまったのはやっぱり『春』の混乱がああして大々的に広まってしまったことからの影響があったりするのかなぁと。なんというかものすごいとばっちり食らってる気がします。
Unrest in Turkey shows cracks in AKP's vision | Yavuz Baydar | Opinion | The Guardian
経済を発展させより自信を付けたからこその政治的抑制、飲酒の制限などの宗教的干渉、そして国内での反発も大きいクルド族との和解など。
これまでの十年間もずっとあったものの表には出てこなかったそれが、もしかしたらうちの国もああなってしまうかもしれない、という危機感へと見事に増幅されてしまっている。


ともあれ、それでも重大な政変に繋がりかねない「経済の停滞」という側面から見ると、今も尚トルコさんちは好調であるようなので、これだけですぐに大きな政変になるのかというとやっぱりそうではないのでしょう。その意味で今回の混乱も、経済の停滞が伴わない限り、短期的にはやっぱり小さな問題――といっては真面目に活動している人に失礼なお話ですが――であるオリンピック招致の問題に与えるくらいでしかないのかなぁと。
このままエルドアンさんが頑張ってしまうとまた別の展開もありそうですけど。シリアもあるし。


がんばれトルコ。