だからそれは「敵は自民党にあり!」だって言ったじゃないですかー

民主党以外の)野党による敵本主義な行動。


時事ドットコム:民主の筋書き破綻=問責と法案「二兎」追う
首相問責、参院可決 民主、迷った末に加わり重要法案廃案、選挙戦突入へ+(1/2ページ) - MSN産経ニュース
民主すら戸惑った首相問責 「55年体制」へ回帰か  :日本経済新聞
ということでまったく意味のない問責が通ってしまったそうで。まぁ民主党以外の野党にとっては無意味でも「やらないよりはマシ」という辺りで別に構わなかったのでしょうし、ついでに与党たる自民党公明党にとってもそれは参議院のねじれの解消という正当性を獲得する良い機会だと思ったので敢えて放置した、という所なのでしょう。
――で、唯一明らかに一人「損」をしたのが民主党であると。
見事に彼らは旧政権与党としての責任を放棄し、その他大勢の野党と同調することになった。ほんともう彼らは一体何をやっているんだ。民主党は、彼ら以外の野党とそして与党側から、見事に挟撃されている。いやまぁ別に強制されたわけでもなく自らの足でノコノコそんな危険地帯に突っ込んだので自業自得だと言えばその通りなんですが。
東京の中心で「敵は本能寺にあり!」とさけぶ - maukitiの日記
まぁその辺りの構図については先日の日記で書いたとおりであります。与党だけでなく、それ以外の野党にとっても、現在の民主党は真っ先に潰すべき敵であるのです。「反自民」の票を奪い合うライバルとして。だから敵は弱ければ弱いほどいい。

しかしまぁ今回の選挙で再び明らかになったのは、どう見ても戦うべき敵は自民党――というよりはむしろ民主党であったことですよね。いかにして民主党の死体を上手く蹴れるか=失敗した民主党との違いを強調できるか。

それこそ民主党「以外」の野党のプレイヤーたちにとって、最も勝率が高いのは、その民主党が持っていた議席こそを奪うことにあるわけで。現状それなりに強力な自民公明と下手に勝負するよりも、そちらから奪う方がずっと楽な勝負を展開できる。いかにして民主党議席を奪うことができるか。その意味でも、違いを出すべきなのは自民党と比べてというよりは、むしろ「民主党との違い」なのだろうなぁと。

東京の中心で「敵は本能寺にあり!」とさけぶ - maukitiの日記

そもそも二大政党の一方であった民主党が衰退すればするほど、それ以外の少数政党にとっては存在感を増すことになるわけで。だからこそ彼らはほとんど一致して、2009年の政権交代の時からずっと自民・民主の二大政党化に反対を続けてきたのであります。
なので次の参議院選を見ても、(民主党以外の)野党の人びとにとって、ぶっちゃけ自民党が来月に大勝するよりも民主党が息を吹き返す事のほうが直近に迫った問題であるわけで。彼らにとって最も存在意義が脅かされるのはただの自民党の圧勝ではなく、むしろ二大政党の長期的な確立であるわけだから。


こうして見ると「民主党へダメージを与える戦略」としては今回の問責はとても利に適ったやり方ではあるんですよね。
与党を攻撃しているように見えて、実は民主党への揺さぶりを仕掛けている。それに民主党が乗ってもこうして自民党がその不誠実さを批判してくれるし、逆に乗らなかったら乗らなかったで民主党が与党寄りだと彼らは非難することができる。どちらに転んでも「先ず」民主党がダメージを受けることになる。
みんなの党がこの問責を主導したと言われていますけども、これを画策した人について、誰だか知りませんけど見事なモノだなぁと感心してしまいます。個人的には――それこそ不美人投票としては――まだ民主党野党第一党であったほうがマシだと思っているし、だからこそ上記日記も書いたんですけど、見事にご覧の有様であります。


自らのダメージに繋がることに気付かないまま嬉々として問責に飛びついてしまった民主党。そしてそれを笑って眺める与党と(民主党以外の)野党たち。仕掛けた側と黙認した側でありながら、実は彼らもここまで見事に嵌まるとは思っていなかったんじゃないでしょうか。
まぁなんというか、単純に笑えるというよりは、むしろなんだか悲しくなってしまうお話ではありますよね。