夏の夜の夢

人の夢と書くから儚い。


2020年夏季五輪、開催地は東京に決定! 写真3枚 国際ニュース:AFPBB News
ということで一部の人が大注目のオリンピックの結果が出たそうで。なんか消去法感がありますけども、とにもかくにも56年ぶりの東京開催。おめでとうおめでとう。
まぁここでもし負けてしまうと確実に政権批判や経済への心理的影響が出てしまうことは確実だったので――かといってもちろん勝ったからといって別段誉められるわけでもない――招致に賛成反対は別としても、とりあえずは勝ててほっとしている人も多いのではないでしょうか。





ともあれ僕のいつものポジションではありますが、やりたいと願う人たちの気持ちも、あるいは無駄だと思う人の気持ちも、まぁどちらも解らない話ではないんですよね。
つまり、今更オリンピックなんて無駄遣いであり現実逃避でしかないだろう、というのは限りなく正解に近いわけで。開催で喜ぶのは東京近郊であり一部業界のみであるし、そもそも現状抱える日本の構造的な問題解決にオリンピックが何か寄与することはない。インフラ投資にしても私たちにとっては限りなく今更ではあるし、現代ではむしろ前回分の寿命という問題に直面している。オリンピックなんてそれこそ一時の夢に過ぎないだろう、なんて。
――ただまぁそれでも、やっぱり全く無駄である、と切り捨てるのも正解とは言えないわけで。利害や合理性のみを追求した結果反対する、じゃ少なくとも大きな支持は得られませんよね。確かに高価な現実逃避だといってしまっては身も蓋もありませんが、それでもそうした楽しみを求める人の声を完全に否定するわけにもいかないわけだし。私たちはただただ効率のみで生きているわけではないのだから。
『オリンピック憲章五章五十一条三項』がもたらすもう一つの効果 - maukitiの日記
こちらは去年のオリンピック後に書いたお話ではあります。イギリスさんが2012年のロンドンを半ば開き直り気味に自賛しているように、むしろそれは一時の夢でしかないからこそ意味があるのだ、と。まぁ確かにその意見には一理あると同意するところではあります。現状抱えている問題を一瞬でも棚上げして皆で一緒に熱狂することが出来る。そうした共通体験は『平和的祭典』として行うという意味では、まぁとても健全なものであるでしょうし。


ほとんどどこの国家でも抱える社会問題を一時でも忘れ皆で協力することができる、一夏の夢物語。その効用はイギリスがそうだったように、むしろ様々な社会問題に悩む現代先進国家の方がより求めているのかもしれないなぁと。
決まった以上、恥ずかしくない大会になればいいなぁと祈っております。