静かでない戦争

副題:もしかしたら今度こそ『すべての戦争を終わらせるための戦争』をヨーロッパは夢見るのだろうか?




実を言うと国連憲章はもうだめです - maukitiの日記
ということで先日こういう日記を書いたんですけども、
ウクライナ大統領が欧州議会で演説、「共にあると証明してほしい」 | ロイター
G7、対ロ追加制裁の用意 協調確認、鈴木財務相「断固行動」:時事ドットコム
ロシアへの経済制裁 フランス経済相「経済 金融の戦争」 | ウクライナ情勢 | NHKニュース
ロシアのデフォルトの可能性極めて高い、2桁の経済縮小も=IIF | ロイター
欧州、武器支援急ピッチ 戦後の「平和主義」転機 - 産経ニュース
ドイツ、国防費をGDP比2%超へ ロシア侵攻で方針転換: 日本経済新聞
ノルドストリーム2、破産手続きを検討 ロイター報道: 日本経済新聞
安保理常任理事国からのロシア解任、「選択肢」と英 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
CNN.co.jp : 永世中立国スイスも対ロ制裁、プーチン大統領らの資産凍結
スウェーデン、国是破りウクライナに武器供与へ 写真8枚 国際ニュース:AFPBB News
フィンランド、「NATO加盟希望」が初めて過半数に=世論調査 | ロイター
UK relaxes visa rules for Ukrainian refugees as Johnson warns millions could flee | Reuters
ウクライナ危機!ドイツの報道の今! - Togetter
まさか現代ヨーロッパがここまで団結するのは全く予想外だったなあ。ほとんど現状出来る限りの軍事支援(ヘルメット送る送らないでモメていたあの頃!)はもちろん、ここまで一気にSWIFTするとも、ノルドストリームを捨て去ることも、そしてつまるところ国連憲章という大義名分を守ろうとここまで一致団結することも。
ぶっちゃけロシアの侵攻それ自体よりも驚きながら、このまったく静かでない戦争のニュースを見ています。
まさか生きている内に再び『9・11』に匹敵するイベントに出会うなんて。

私は暴力に対して一つの武器しか持っていなかった。それは暴力だ。

再びドイツが、ヨーロッパが、サルトルの地平に回帰しつつある。
ロシアの『侵攻』よりも、こっちのヨーロッパの『回帰』の方が驚きだよなあと。まぁせいぜい30年ちょっと前までは今回のウクライナのような侵攻がガチで起こると終末戦争の覚悟を決めていた人たちでもあるわけだしね。


個人的にアメリカの本ばっかり読んでいるせいで、最早牙の抜かれた――ロバート・ケーガンに言わせれば「火星人と金星人」ほど違う――ヨーロッパというネオコン的価値観に知らず知らずの内に毒されていたのかもしれないなあと反省しています。。

2002年に『ポリシー・レビュー』誌に発表した論文「力と弱さ」の中で、冷戦後の世界において軍事力を重視するアメリカ人と、それをほとんど考慮しようとしないヨーロッパ人の世界観が「火星人と金星人」ほど異なってしまっていると論じ、もはやアメリカはヨーロッパに何事も期待していないと米欧関係の変化を結論したことで、政治的にも大きな議論を巻き起こし、ネオコンの論客として一躍脚光を浴びることとなった。

ロバート・ケーガン - Wikipedia

ケーガンのようなネオコンイラクなどで間違っていたのはともかくとして、まさか「軍事力をほとんど考慮しようとしないヨーロッパ人の世界観」の方もここまで盛大に間違っているとは。
「もはや(冷)戦後ではない」
日本より先にあちらがその次元に到達するとは。これにはヒトラーアベもニッコリ。
軍事大国ニッポンを夢見るネトウヨたちのヨーロッパ出羽守化まったなし!




結果的・後知恵として見るならば、そこに掛かっている絶対的な大義名分を考えれば不思議ではないんですよね。
ヨーロッパにとってのあの二度に渡る大戦の反省とは、つまるところ「二度とヨーロッパを戦場にしない」なのだし。
――ところがぎっちょん、端っこと言えど曲がりなりにもヨーロッパの一部で、プーチンのロシアが再び侵略戦争を始めてしまった。
そりゃシリアやアフガニスタンリビアイラクとは違う反応を見せるのもやむなしであります。だって自分たちの庭が燃えているのだから。

欧州委員会のフォンデアライエン委員長は、ロシアのプーチン大統領ウクライナ侵攻を決定したことで、むしろ各国がロシアに対して結束する結果になったと指摘。「プーチン大統領がEUの分断化、北大西洋条約機構NATO)の弱体化、国際社会の破壊を目指していたとすれば、結果的に全く逆の結果になった」と述べた。

ウクライナ大統領が欧州議会で演説、「共にあると証明してほしい」 | ロイター

かくしてヨーロッパは、私たちが歴史上の出来事として死ぬほど見てきた「戦争の熱狂」というよくあるイベントによって目覚めつつある。
問題はこの後の展開でしょう。
「5日以内にキエフ陥落も」 ロシア侵攻 米が厳しい分析(フジテレビ系(FNN)) - Yahoo!ニュース
悲しいかな戦力差は決定的であり、少なくともキエフが陥落する可能性はかなり高い。
バイデン大統領 一般教書演説 国際秩序の危機に外交方針が焦点 | 米 バイデン大統領 | NHKニュース
ウクライナ、ヨーロッパ、そして唯一ロシアに優越する軍事力を持つアメリカの覚悟は、一体どこまで持つだろうか?*1
クリミアと東部ウクライナを割譲をすることでウクライナに蓋をして、もうだめな国連憲章に見て見ぬフリをしながらプーチンと再び握手をするくらい?
あるいは今度こそ『すべての戦争を終わらせる戦争』を戦う位? 




みなさんはいかがお考えでしょうか?
 
 

*1:私たち日本については……、うん、まぁ、ほぼほぼ傍観者だしとりあえず勝ち組の英米に追随して日和見してればいいとぉもぅょ。