富める者はますます産まずに増えず、貧しい者はますます産み増える

その成長というパイを何人で分けるのか?


「貧困国は2035年までに消滅する」というビル・ゲイツの見解に著名な経済学者が真っ向から反論 - GIGAZINE
まぁこの辺は難しい――というかメンドくさいお話ではあるんですよね。リンク先でも言及されているように、どの経済統計の指標・あるいはどの期間を採るかによってその格差の度合いはかなり操れてしまうわけで。故にそこではしばしばケンカになる。国内総生産や為替レートやら購買力平価やら、更にはその期間やら。統計ってコワイ。


ちなみに21世紀の現代におけるこうした『国家間』の格差を考える上で、どうしても避けられないのが中国さんちの存在であるわけです。あまりにも巨大な彼らがプラスしてものすごい勢いで成長した結果、彼らを「貧しい側」に数えると結果としてその格差が縮まっているように見えてしまう罠。しかし多くの人が指摘しているように、中国さんちの都市部と農村地帯では全く別の国家とさえ言えるほどの経済格差でもある。そんな二つを分けて考えようとすると、さっきとは全く逆の――格差はまるで縮まっていないという結果が出てしまうことに。
中国を数に含めますか?

「世界中の貧しい国が豊かになりつつあり、2035年には世界に貧しい国はほとんど残っていない」とするゲイツ氏に対して、「貧しい国はこれまでにもまして豊かになりにくい」とするケイ博士ではまったく正反対の見解と言えますが、両者ともに貧困を撲滅したいという思いは同じ。いずれの見解が正しいのか?という議論はさておき、貧困のない世界の実現に向けてより議論を深めて欲しいものです。

「貧困国は2035年までに消滅する」というビル・ゲイツの見解に著名な経済学者が真っ向から反論 - GIGAZINE

つまり、あまりにも例外的な勢いで急成長した(都市部)中国を含めれば格差は小さくなったように見えるし、逆にそれを数えなければどう見ても格差は大きくなっている。ここに更に「一体どこまで中国さんちの数字を信用するか」という問題もあったりするわけで。故に中国さんちを見る目は千差万別となってしまうと。
上記お二人の意見の差異のうち半分くらいはこの「中国への見方」で説明できるような気がします。いやぁ中国さんちはめんどくさいですよね。





さて置き、先日の日記でも少し触れましたがまぁ「国内の経済格差は概ね縮まった」一方で、しかし「国家間のそれはむしろ広がっている」というのには個人的には同意するところではあります。

「富める者はますます富み、貧しい者はますます貧しくなる」という格言(マタイの法則)。

個人的にこの格言について、現状の国家間の経済格差を鑑みた上で付け加えるならば、

「富める者はますます産まずに増えず、貧しい者はますます産み増える」

というのも(もちろん以前の日記でも書いたように『制度』の整備もあるとして)大きな要因の一つではないかと思うんですよね。どう考えてもそうした貧しい国の貧しい人たちが増えまくっている一方で、私たち日本を含む先進国の人たちはせいぜい現状維持がほとんどなわけで。この構図において仮に「同じ程度に」富が増えたとしても、その富を小さな数字で分けるのと、大きな数字で分けるのでは確実に差が生じる。そりゃ格差が大きくなるのは当たり前ですよ。この容赦ない母数変化の違いによって、先進国と更新国の南北格差というのはそれはもう絶対的な意味でも、そして相対的な意味でも広がり続けている。
ただでさえ現代の資本主義世界での成功の為に決定的に重要な『教育』の為のコストは莫大であるのに。


だからといって貧しい国の人たちにあんまり産むなとも、富める国の人にもっと産めなんてことも言うこともできない私たち。


いやぁ一体どうすればいいんでしょうね?
がんばれ人類。