「愛は育てるもの」と言うけれど

そんなことをする余裕がない。


社会とともに変化する結婚の質とレベルアップのための方法論とは - GIGAZINE
自由恋愛という価値観は進歩のもたらすもの。

マズロー欲求段階説」にはさまざまな議論はあるものの、その概念は「人間の欲求は低い次元のものから順に満たされていく」というもの。かつては「生存・安全」が最重要視された結婚が、現代では「自己実現」をもたらすものとなっており、それだけ高い次元に暮らしが変化していることを示しています。博士は、この理論をもとに結婚の満足度について「パートナーとの関係に使う時間とエネルギーが多いほど、かつてないほど多くの利益を得ることができる」と語ります。

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まぁこの辺は特に先進国などで見られるような、女性の社会ん進出が進んだ現代における結婚観の変遷としてよく語られるお話ではありますよね。『経済的必要』からの結婚が、『愛情』による感情的の繋がりへと変化した。
ただやっぱりそうした『愛情』というのは内面の感情の動きであるが故に儚いモノでもあるわけで。「金の切れ目は縁の切れ目」なんてことも昔からよく言われるお話ではあるものの、しかし少なくとも「感情の切れ目」よりはずっと強固なものでもあったのです。


故に愛情を必要とする現代の結婚には、それこそ定期的な手入れが必要である、と。
――じゃあそうした手入れを怠った場合には? 

しかし同時に、その満足度の感じ方(=離婚率)には社会格差があるということも指摘します。1970年代に結婚したカップルが10年以内に離婚する割合は、低学歴者グループの場合は28%、高学歴者グループでは18%だったのに対し、1990年代前半のデータではそれぞれ46%、16%となっており、両者の違いが克明になっていることが明らかにされています。また、これは両者の収入レベルとも結びついています。
博士は「問題は、貧しい層が結婚生活の重要さを認識していないことではなく、また両方の層が結婚生活において重要と考えていることが異なるということでもありません。本当の問題は、失業を含む雇用の問題によって引き起こされた社会的格差により、貧困層では結婚生活を維持するための時間や余裕がないことが問題なのです」とその注目すべきポイントを挙げています。

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せつない。
本来であればより『経済的必要』が大きいはずの低所得層でこそ結婚生活の重要性が大きかったはずなのに、しかし、どう見ても相対的に時間とお金にゆとりのある高所得者層の方が、愛情による結婚という現代的価値観に適応してしまっている構図。こんなことなら自由恋愛なんてない方がマシだったかもしれないのにね。
しかし現代の――誰もが素晴らしいと称賛する――進んだ結婚価値観に従えば、そんな経済的必要による結婚というのは(少なくとも建前としては)陳腐化しつつある。


まぁいつだって、有利なポジションにある上位者たちこそがルールを決めるのだ、なんて言ってしまうと身も蓋もありませんけど。