「自然は真空を嫌う」とアリストテレス先生は仰っていたわけで

また、だからこそ、現代のマスコミが劣化していく理由。



ネット上でデマ・偽情報・陰謀論が注目を集めて爆速拡散する理由が研究で明らかに - GIGAZINE
これは実体験というか、特にあの『3・11』を経験した現在の私たちだからこそより深く頷けてしまうお話ではあるかなぁと。それこそあの関東大震災でも言われていたような、風説の流布やパニックの根源にあるもの。
私たちはその初期段階において、とにもかくにも情報をかき集めようとするし、その上でその情報の『確度』にはほとんど気にも留めない。

研究では偽情報に対して最初にコメントがきてから最後のコメントがくるまでの時間(ネット上で話題になった時間)を計測。研究チームは、この時間から偽情報がどれくらいの間正しい情報だと信じ込まれていたかを知りたかった、とのことですが、調査結果から判明したのは、FacebookSNSに慣れている人であれば「確かに」と納得するようなことでした。

調査結果を、ニュースを報道した機関ごとの「ネット上で話題になった時間」で比較してみたところ、以下のグラフのようになります。縦軸が確率、横軸が「話題になった時間」を示しており、赤線が主な報道機関、黄色線がその他報道機関、青線が政治的なポストを行うサイトを表しており、グラフは3つのカテゴリに分けられた情報源がどの位の割合で、どの程度の期間話題になるかを示しています。このグラフを見ると情報の「信頼性(3つのカテゴリに分けられた情報源)」が「話題になった時間」に与える影響はほとんどなく、SNS上で話題となるニュースにとって、「真実」か「嘘」か、といった要素はさほど重要でないことが分かります。

ネット上でデマ・偽情報・陰謀論が注目を集めて爆速拡散する理由が研究で明らかに - GIGAZINE

まぁ身も蓋もないお話ではありますけども、情報統制の重要性としてもよく解る構造でもあります。だからこそ初期のデマや風説は恐ろしいわけでもありまして。
その最初期の空白状態だからこそ容易に浸透する。
私たちは情報の真空状態を恐怖する故に、ごく当然の振る舞いとしてそれを埋めようとする。初期に流れたデマなどが長い間定着してしまうのは単純にそういう理由からなんですよね。ウラ取りや論理的整合性のとれたきちんとした情報ではなく、信頼性や確度が低いほど無責任に「いち早く」速報として流れるのだから。


現代の既存マスコミの皆さんが(色々な意味で)苦戦するのはこうした背景もあるんですよね。どう考えてもネットと比較した場合「速報性」という面で彼らには限界もある。しかし大半が営利企業である彼らはそのニーズを良くも悪くも必死に埋めようとする。で、そうなると短期的な影響ばかりを追ってしまうようになるという悪循環。やめたくてもやめれられないスパイラル。
彼らは――その自身に課せられた使命として――より早く情報を届けようとすればするほど、しかし必ずその信頼性は低下していくし、短期的な影響ばかりに注目するようになると長期的影響や信頼性の高い情報を期待している人びとまでもがそこから離れていく。


いやぁどちらにしても救えないお話ですよね。