我々人間の脳がこれほどに発達した理由のひとつ

『社会』に生きる私たちだからこそ。


人間には無意識レベルでウソを見抜く力が宿っているという結果が明らかに - GIGAZINE
まぁこの辺の「ウソを見抜く」お話は、まさに私たち人間が人間である故の存在証明の能力でもあるので、不思議ではないかなぁと。

17ミリ秒だけ表示される顔写真は目には見えない画像のため、いわゆる被験者の深層意識に働きかけるサブリミナル効果の影響を検証するテストになっています。この試験の結果では、実験1よりもウソをついていること、無実であることを見抜いた確率は明らかに向上したことが明らかになり、人間には意識による認知以外の無意識のレベルでもウソをついている人を感じ取る能力が備わっていることを示す事例となりました。

だたし、この実験結果からは科学的に明らかに重要な傾向が見てとれるものの、まだ明確な結論を提示するという段階ではないとのこと。無意識の力にはウソを見抜く力も備わっていることを示す結果が示されているわけですが、なぜこの無意識の力は意識のレベルの下に埋もれてしまうことになったのでしょうか?テン=ブリンク博士はその理由を「生存していくために、われわれはお互いにウソを使うこと、そして社会の中で生きていくというのは、ささいなウソを受け流していくということを学んできたから」だと推測しています。

人間には無意識レベルでウソを見抜く力が宿っているという結果が明らかに - GIGAZINE

最後の言葉「生存していくために、われわれはお互いにウソを使うこと、そして社会の中で生きていくというのは、ささいなウソを受け流していくということを学んできたから」というのは色々と含蓄のある言葉だと思います。


そもそも、いつのタイミングかは解りませんけども進化の過程において、集団社会を営む人間にとって最も危険で最も重要な『敵』というのはただの肉食動物ではなく「同じ人間」になったわけで。故に私たちはその最大の味方であり最大の敵でもある同じ人間たちと、そのコミュニケーション能力を高めることこそが生存戦略となった。
ゲーム理論が教えてくれるように、人間は自らの利益の為に基本的には誠実で協調的な集団ではあるものの、しかしいつだってそこにはその協調を利用しウソをつき出し抜くことで得られる利益も同じく存在する。バレなければいいだろう、というのはある種の真理でもあるのです。
故に社会的動物である私たちは、相手を上手く騙す能力と、逆にウソを見抜く能力、そして更にはそれらを相手に気付かせない為の能力を磨くようになった。


他の動物と比べて相対比較で圧倒的に大きい人間の脳が何故ここまで異質に進化したのか、という議論においてこうしたウソなどを筆頭にしたコミュニケーション能力の進化の結果であると言われていたりもするわけで。実際「ウソをつく」際にはまぁものすごく頭をフル回転させなければいけませんしね。そしてそんな脳への負荷が様々な生理的反応となって身体に表れる。
こうした競争は、かつての時代のような個人の腕力こそが支配する社会よりも、現代的社会の方がずっと熾烈なものになっていくのでしょう。市場競争から出世争いまで、それこそ私たち人類同士の争いで極北にある『軍事競争』だって言ってみれば知能対決でもあるわけで。単純な暴力の争いではなく、いかに効率の良い組織といかに強力な兵器を持てるか、という競争。


がんばれ人類。