タマニー・ホールをやっつけろ

韓国版『高貴な実験』?


不正根絶の決定打か、現代の禁酒法か? 公務員のみならず記者まで対象、韓国で金品授受厳罰法が成立:JBpress(日本ビジネスプレス)
言われてみれば確かに『禁酒法』とそっくりかなぁと。


実際、『禁酒法』ってまぁアメリカ的な(宗教由来の)道徳観や法律愛ついでに続々と押し寄せる移民文化への反発=アメリカ化運動などがその背景にあるわけですけども、同時にまたそうした運動を形成した重要な要素が「悪徳政治家への反発」でもあったわけですよね。
禁酒運動が真の意味での全国的潮流になったのは、それが『反酒場同盟』と結びついた時にこそ、それはアメリカ全土に波及するようになるのです。当時アメリカにあった「酒場」というのは、一般市民にとってそれはもう評判の悪い存在であったわけですよ。考えてみれば当たり前の話ではありますが、周辺の秩序は間違いなく悪化するし、ついでに宿泊や職斡旋も兼ねることの多い酒場は新たな移民たちが集まるいかがわしい(とされた)場所でもあった。
そんな元来違法であるもぐりな酒場というのは、当然の帰結として、賄賂を通じて悪徳政治家と半ば公然と結びつくことになるのです。悪名高きタマニー・ホール*1を支えたのはこうした酒場を通じての支援であり集票能力でありました。当時の一部政治家たちにとってもぐり酒場を経営することは当然の行為とみなされていた程です。資金源としても、集票組織としても。
アメリカでの禁酒運動ってこうした『酒場』への反発=つまり政治不信と結びついて、大きな社会運動となったのです。


翻って今回の韓国での高貴すぎる実験を見ると不正義への反発というだけでなく、やっぱりその根底には政治不信があって禁酒法と並べるのは適切な類推なのかなぁと。

 韓国社会には、人脈社会が幅を利かせて、一部の階層だけが「うまいことをやっている」という批判がくすぶっている。記者に対する特権批判も根強い。

 また、金品の授受を通したさまざまな請託もなくならない。職務関連性や対価性という壁に阻まれてなかなか不正行為がなくならないという不満も強い。

 金英蘭法はこうした世論の後押しを受けて成立した。

 金英蘭氏は3月10日に記者会見を開いて、新しい法律についての所感を明らかにした。

 この中で、違憲かどうかについて「国民の69.8%が私立学校や言論社を含めることが『望ましい』と評価しているという世論調査がある。こういうものを見ると、過剰立法だとか平等性原則違反だと見ることはできない。違憲だとも考えていない」と語った。

不正根絶の決定打か、現代の禁酒法か? 公務員のみならず記者まで対象、韓国で金品授受厳罰法が成立:JBpress(日本ビジネスプレス)

まさにあの禁酒法も政治買収への反発として生まれたわけだから。こうして見るとほとんどそのままとすら言えるかもしれない。しかし皆さんご存知の通り、結局あの実験は、更なる「悪」を招来することになってしまったわけですけど。


がんばれ韓国。