都市のプレステージを決めるもの

お金持ちなら良い所に住んでいるだろう、という思い込みは「概ね」正しい。


4500万件の納税記録の分析により億万長者は税金を高くしても引っ越ししないことが判明 - GIGAZINE
いやまぁ当然硬直性はあるだろうしそれはそうなんでしょうけども、「本題ってそこなの?」という感じ。

アメリカは州ごとに税率が異なり、州によっては所得税がゼロに設定されているところもあります。パナマ文書が暴露されたことから「富裕層は高額な納税を避ける」と考えられがちですが、13年間にわたって4500万件の納税記録を分析した結果、毎年の所得が100万ドル(約1億1100万円)以上の億万長者は、租税回避のために居住地を変える確率が非常に低いということが、スタンフォード大学の調査によって明らかになりました。

4500万件の納税記録の分析により億万長者は税金を高くしても引っ越ししないことが判明 - GIGAZINE

そもそも何で富裕層向けの税金を安くするかって既存富裕層を繋ぎ止めるという面も無論あるものの、それと同時にまだ見ぬ「富裕層を集める」という構図でもあるわけで。
なので本当に数字を出すべきなのは元々居住地を変えるつもりがある富裕層の内、どれだけ(所得源の追跡等)税金の「緩さ」を基準に選ぶか、でしょう。多分これだと如実に安い方が集められるんじゃないかな。
でも仕方ないよね。だってその国家――ひいては都市の価値を決めるのは一般に、貧乏人でも中流の数でもなく、金持ちがどれだけいるか、なのだし。


どれだけ多くの富裕層を集めるか、というのはまぁ歴史的に見てもその土地の魅力の証明であり続けてきたわけですよ。それは私たちミクロな日常生活でも実際に感じるお話でしょう。億万長者ですらない庶民的お金持ちが多い所だって当たり前に「価値」が高いことを受け入れている。
それが厳密に調査したらどうなるかまでは数字を持っていないので解りませんが、しかし「多くの人がそう考えている」というのは事実じゃないかと思います。


上記リンク先でフロリダなんかの例として挙げられているように、やっぱり地理的要因も大きいでしょうけども、そういうところは税金を安くするまでもなく魅力があるからそうなっている。
つまり逆説的に意味する悲しい事実と言えば、フロリダのような美しい風景が元々無い所で富裕層をより集めようと思ったら……?


かくして(おそらく普遍的にあるだろう)より良い都市にしたいという思いは、貧乏人でも中間でもなく、富裕層こそをターゲットにする所へ行きつく。だって前者の二つはそれさえ実現できれば勝手に着いてくるだろうから。結局この構図ってここに行き着くんじゃないかなぁと。


みなさんはいかがお考えでしょうか?