俺たちに救いはない

ということは彼らの次の投票先は……?



仏各地で燃料税めぐり大規模デモ マクロン大統領は治安対策を緊急協議 - BBCニュース
現代版「パリは燃えているか?」の様相。
まぁそれを聞いているのがアルゼンチンにいる、当のフランス大統領っていうのがまた面白いお話ではありますけど。

首都パリで起きた理不尽な破壊行為が転機となり、多くの一般的な「ジレ・ジョーヌ」たちはこれで満足したと感じていると、マクロン氏は希望を持ちたいのかもしれない。

だとしたら、それは早急な計算だ。もっと大きな問題は、税金の上昇と生活水準の低下をめぐる大勢の不満なだけに、まだ大勢がこの抗議行動を支援している。

仏各地で燃料税めぐり大規模デモ マクロン大統領は治安対策を緊急協議 - BBCニュース

三週目突入と言うことで、規模はともかくとして、まぁ思ったよりよく燃えているフランスさんちであります。タイミングがいいのか悪いのか、超絶「勝ち組」エリートなマクロンさんということで、より一層その亀裂が鮮明になっているのはまぁ現代寓話な構図。
距離置く安倍氏、引けぬマクロン氏 15分間の日仏会談:朝日新聞デジタル
日本もそうした寸劇に端役ながらも登場しているのはちょっと面白いお話だよね。もちろん背景には雇用確保という面があるものの、端的に見ればマクロンさんは同じ金持ちな友人であるゴーンさんにはこうして味方する一方で、しかし一方では「庶民イジメ」に勤しむというイメージが定着しつつある。
かくして政治家たちが自分たちの経済的・社会的利益を守ってくれないと感じ、絶望した人たちは「最早失うモノなどない」とばかりに大暴れすることになる。いやあ失うものがない人たちってばサイキョーだよね!


ということで今回の件は、あちらで「極右」あるいは「極左」とされる政党が、正しく民主的手続きに則って躍進する理由がよく解るお話一例かなあと。逆説的に言うと、こちらも世界的潮流である『中道』の敗北である。
――もちろん「中道」を自称することそれ自体には多くの政治的合理性が存在している。しかし一度その中道という定義そのものへの信頼性が致命的に失われると、そこに失望した人たちが「真ん中ではないどこか」へ投票するようになるのは当然の帰結でもあるんですよね。更なる右か、更なる左か。


まさにそんな「極右躍進」の代表的事例であるルペンさんの伸張ってそういう構図でもあるわけで。彼女が特別に魅力的なのではなく、あるいは彼らの扇動がお上手なのではなくて、ただただ「中道」を自称する人たちの敵失・自滅を待っていればそれだけで支持が増えているだけ。いやあ上手く敵のミスを利用できるゲームだよね。まるで将棋だ。
マクロン仏大統領の支持率、25%に低下 世論調査 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
問題はこうした不満を抱き暴れている人たちが、次はどこに投票するかである。
――中国だったらこんな烏合の衆など蹴散らしてそのまま無視しておけば済むのにね。民主主義国家って悲しい。
中ロによる民主国家切り崩し策 ―― 台頭する権威主義モデルと追い込まれた欧米 | FOREIGN AFFAIRS JAPAN
やっぱり時代は権威主義! フランスの愚民たちも高邁なエリートであるマクロンさんの言うことを大人しく聞いておけばいいのに。ガソリン代が高ければもっとカネを稼いで電気自動車に乗ればいいのにね。何で暴れちゃうのかさっぱり理解不能です。


かくして彼らは民主主義政治における『中道』を見捨てることになる。
がんばれフランス。