世はまさにフェイクニュース大規制時代

トランプが時代の申し子だった説の証拠がまたひとつ。



マクロン仏大統領、シェンゲン協定改革求める 新機関設置も提案 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
マクロンさんのありがたいお話。

 マクロン氏は、独紙ウェルト(Die Welt)や英紙ガーディアン(Guardian)、スペイン紙パイス(El Pais)、伊紙コリエレ・デラ・セラ(Corriere della Serra)といった欧州の大手新聞に掲載される意見記事を公開。

 この中で、欧州連合EU)が自らを守り、その基本的価値観である民主主義をいっそう厳密に順守するためとして、シェンゲン協定適用圏の改革や新機関設置など可能だとする取り組みをいくつか挙げた。また安全保障協力のさらなる強化を再び訴え、移民危機に対処するための共通した難民政策の必要性も強調した。

マクロン仏大統領、シェンゲン協定改革求める 新機関設置も提案 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

共通した政策の必要性。
しばしばエリートな彼自身への揶揄として使われるマリー風理論を使うならば「欧州連合が機能不全なら政治改革すればいいのに」というお話ではあったので、まぁ概ね正論だと思うかなあ。
――その後ろに、実現は「不可能だという点に目をつぶればよぉ~!!!」って続くんですけど。
これらはギリシャなどで見られたユーロ危機でも同じ構図ではあるんですが、なるほど彼らは「一つのヨーロッパ」を高らかに謳いあげながら、しかし現実の政策としてはまったく共通政策を作り上げられない現状にあるわけでしょう。むしろそれさえ実現できるのならば、かなりの部分で現状の問題を改善できるはずなのに。
ところが現実は、連合を謳いながらも各国それぞれの政策の寄せ集めでしかなく、であればこそ難民問題は結局押し付け合いの様相を呈することとなった。
開放された国境と、しかし開放されなかった各国間の政策の壁。
カネ・モノ・ヒトが自由に移動しながら、しかしその政策実施については、国境を越えることはできなかった。


かくしてその政治統合へのステップこそ21世紀の欧州連合の至上命題でもあったわけですが、まぁ欧州懐疑主義の台頭(その挙句のブリグジット)という現在へと至るのでした。

「民主主義を保護するために」サイバー攻撃や偽ニュース対策を扱う新機関の設置を提案した。

マクロン仏大統領、シェンゲン協定改革求める 新機関設置も提案 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

だからここで、むしろ今だからこそ、マクロンさんがそう言うのは理解できるんですよね。虚偽のニュースや扇動的言動によって、その主要標的であろうEUの政治的正統性が揺らいでいくということは、ほとんどそのまま欧州連合の悲観的将来へと繋がることになるから。
その極致が、投票直前にニュースであることないこと流れまくった結果、見事に離脱派が勝利したイギリスの国民投票だったわけでしょう。もちろん原因全てではなかったにしても、その真偽織り交ぜられた議論に少なくとも一定以上の影響があったのは間違いない。
英下院、政府のEU離脱協定をまた否決 合意なしブレグジットの是非を採決へ - BBCニュース
そしてご覧の有様ですよ。最早イギリスは自分がどこへ行きたいのかさえ解らないように見える。その代償はあまりにも大きすぎる。
この悲劇は繰り返してはならない――故にヨーロッパにおける政治的神話を守るためにフェイクニュースは規制されなければならない。
まぁ理屈は理解できるよね。


ベネズエラのネット検閲、日本のジャーナリズムの危機(八田真行) - 個人 - Yahoo!ニュース
この世の現代政治の失敗すべてをそこに置いてきた - maukitiの日記
それこそ先日も日記ネタにしたベネズエラのメディア規制も、国家にある政治神話を守るためのソレだったわけで。チャベス革命の栄光は絶対不可侵である。
国家の象徴にプーチン氏含む…言論の自由制限も : 国際 : 読売新聞オンライン
他にはプーチンさんも。不都合なニュースを流す「メディアを黙らせる」ことに、右も左も、強権体制も民主体制も違いはないんだなって。
自国にある政治的神話を守ろうとする政治家たち。


本邦においても、「あの」8年前にはそれはそれはもう愉快なニュースが流されまくっていましたよねえ。
自称リベラルな僕の個人的感想としては「それでも」その自由は擁護すべきだとは思っていますけども、しかし海外と同様に本邦社会においても、フェイクニュース規制への道が徐々に舗装されつつある世論の醸成は否めないかなあと。
「触るな、避難民が」出身隠した22歳、再び原発を語る:朝日新聞デジタル
朝日新聞さんなんかも、そのすばらしきホウドウの使命から気にしているんですよねえ。
さべつかんじょうをあおるにゅーすをかいたやつらは「民主主義を保護するために」きせいすべきじゃないかな!
えーと、当時プロメテウスの罠とかホウシャノーがくるって扇動的な報道をしていた愉快な人たちはと言うと……。

政権はその対策に苦慮し、政府批判や反政府暴力の激化を抑えるため、ときに「強権的」手法に訴えざるを得なくなっている。

for-venezuela-2019-jp on Strikingly

うんうん、だから各国政権がフェイクニュースを規制するのはしかたないんだもんね! せざるをえないんだもんね! 
フェイクニュース規制によって『言論の自由』が阻害されることに不安になる人もいるかもしれませんけど、上記マクロンさんだけでなく、すばらしきデモクラシーやジャーナリズムをしんぽうするひとたちだって、こう言ってるから安心ですね。






世はまさにフェイクニュース大規制時代。
それぞれの政治神話を守ろうとする彼らは、であればこそ、正しく適切に権力者の欺瞞を暴くシステムの弱体化を同じように願っている。
右も左も、民主体制も独裁体制も、全ての権力者たちの共通の願い。フェイクニュース死すべし。
これはもう全人類共通のユメと言っても過言ではないかもしれないね。



はたしてこれは全世界共通のスタンダードとなっていくのか? 
それとも冷静さを失った私たちの一時の気の迷いでしかないのか?


みなさんはいかがお考えでしょうか?