【スポンサーリンク】

「いつの日かわれわれもだれかにクルドにされるかもしれないということを、決して忘れないようにしよう」

ハイチ代表はやっぱり良いこと言っていたよねえ(三回目)。



シリア北部で7万人が避難 クルド人勢力、トルコに反撃 写真19枚 国際ニュース:AFPBB News
ということで本邦が台風やらで大騒ぎしている間に、国際社会はトルコのシリア(クルド)侵攻で大騒ぎであります。
CNN.co.jp : クルド人は「第2次大戦で米国助けず」 トランプ氏、攻撃容認を説明
そしてそれに伴って、更に油を注いでいるというか戦後国際秩序の根幹に挑戦していると見られかねない発言をしているのがトランプ大統領の爆弾発言でもあるわけで。

ルビオ上院議員は「クルド人は米政権の要請を受け、シリアでの対ISIS作戦において主要な地上部隊の役割を果たしていた」と指摘。そのうえで、政権は「エルドアン大統領と取引してクルド人排除を容認した。我々の名声や国益への損害は計り知れず、長年にわたり影響が残るだろう」と述べた。

CNN.co.jp : クルド人は「第2次大戦で米国助けず」 トランプ氏、攻撃容認を説明

見事に、あまりにもあっさりと、『イスラム国』との戦いで先頭に立ってきていたのにアメリカから見捨てられてしまったクルドの人たち。かなしいね。


このトランプさんの発言が「爆弾」扱いなのは、それはまぁアメリカと同じように同盟していた人たちが「次は自分かもしれない」と恐怖を抱き行動に移す可能性がある、という少し考えれば誰にでもわかる単純な論理でもあるわけで。
アメリカがなぜわざわざリスクを払って同盟国に『核の傘』を提供するのかといえば、つまりそういうことでもある。
――特に私たち日本なんてその筆頭でもある。
自称平和国家な私たち日本ではありますけども、いざという時に何をしでかすかわからないのは、それはもう大きな前科があるんですよね。であればこそ歴代アメリカ政権は日米安保を東アジアにおける日本の拘束具としても見てきたわけで。


といっても私たちはアメリカの、トランプ大統領の決断に文句を言うことはできても、しかしクルドの悲劇に対してアメリカ以外の自分たちが何かできるわけでもない、ということも覚えておかなければいけない現実でもあるわけでしょう。
アメリカという同盟国が何もしないというだけでなく、国連も、国際社会も、「いざという時」にも何もしてくれない。
ロシアや中国の大国としての振る舞い、あるいは北朝鮮核兵器を振りかざす行為でもそうでしたけど、それはトルコでも同様だった。
アメリカも、ヨーロッパも、国連も、国際社会()も、何もしてはくれなかった。


かくして国家安全保障を考える当局者たちは、その多くがリアリストな視点へと収束していくわけですよね。
結局は自分を救ってくれるのは自分たちしか居ないのだと。
なぜ保護主義は戦争を招くのか? - maukitiの日記
政治的孤立主義への道へ。



かつて1935年にイタリアがエチオピアに侵攻したものの、国際連盟の圧力と制裁は結局その侵略行為を止めることはできなかった悲劇に際して、国際連盟のハイチ代表の言葉がふたたび蘇る世界へ。

「大国か小国か、強国か弱国か、近隣の国か遠方の国か、また白人の国か非白人の国かを問わず、いつの日かわれわれもだれかにエチオピアにされるかもしれないとうことを、決して忘れないようにしよう」*1

エチオピアの運命よりも大事なことがある故に彼らは見捨てられた。まぁヒトラー対抗の為のヨーロッパ協調の優先だったことを考えれば一定の擁護もできなくはない(結局それも失敗したんですけど)。
だからトランプさんの「金のムダだから」という意見には一応の説得力があるんですよね。だってお金は大事だもん。
それよりも他に優先すべきことがある故に、彼らは見捨てられる。
トランプさんほどあからさまではないものの、私たち日本だってやっていることは同じでしょう。日本社会の平和と安寧の為ならば、クルド人が何万人死のうが何十万人が難民になろうが知ったことではないのだから。



いやあ軍靴の足音が聞こえてくるよねえ。
それはなにも、とある独裁者の思い付きでも、あるいは国民のウケイカからでもなく、「いざというときには同盟国も国連も、窮地の自分たちを誰も救ってはくれない」という国際社会の現実に後押しされる形でこそ。


ウクライナの時もそうでしたけど、今回のクルドの件でも、多くの国々が同じことを考えているんじゃないかな。
「いつの日かわれわれもだれかにクルドにされるかもしれないということを、決して忘れないようにしよう」


みなさんはいかがお考えでしょうか?

*1:国際紛争』第六版P120